エラベノベル堂

検索に届く物語

全年齢

小説ID: cmrcga7ol000o01pczhzm01f3

1章 / 全10

朝の光がカーテンの隙間から机の上へ細く落ちていた。陽介はコーヒーの湯気越しに、開きっぱなしの画面をにらむ。そこに映る自分の小説サイト、erabenovel.com。更新は続けているのに、アクセスの数字は思ったほど伸びない。 「……なんで、見つからないんだろう」 独り言は部屋の空気に吸われるだけだった。書いたものに自信がないわけじゃない。けれど、読んでほしい相手に届かなければ、存在していないのと同じだ。そう思うと、胸の奥がじわりと重くなる。 陽介は椅子に深く座り直し、スマホを手に取った。検索で見つけてもらうにはどうすればいいのか。思いつくまま調べてみると、難しい言葉ばかりが並んでいる。専門用語の海に少し怯みながらも、彼は画面を閉じなかった。 「まず、今の状態を見ないとだめか」 彼はノートを一冊引き寄せ、ページの端を指で押さえた。サイト名、紹介文、更新の仕方、作品への導線。気になったことを一つずつ、短い言葉にして書き出していく。何が足りないのか、何が見えにくいのか、考えを頭の中に留めたままではぼんやりするだけだ。 ペン先が紙を走る音だけが、部屋に規則正しく響いた。読者の目線で見れば、たぶん最初の一歩で迷っている。どこを押せばいいのか、どんな話が置かれているのか、それがぱっと伝わらない。陽介は自分のサイトを、初めて入る店みたいに思い直した。 「入口がわかりにくいのかもしれない」 そう口にした瞬間、少しだけ視界が開けた気がした。作品を増やすことばかり考えていたが、その前にやるべきことがある。まずは、どこに問題があるのかをはっきりさせることだ。 陽介はメモの最後に、太めの字で一行を書いた。 不足しているものを、見える形にする。 書き終えると、机の上の空気がほんの少しだけ軽くなった。彼はペンを置き、紙に残った言葉を見つめる。ここから何が変わるのか、まだわからない。それでも、調べる前よりは確かに前へ進んでいた。

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