エラベノベル堂

検索に届く導線

全年齢

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1章 / 全10

朝の光が薄く差し込む自室で、俺はノートパソコンの画面を見つめた。えらべのべるの公開ボタンを押してから、まだそれほど時間は経っていない。それなのに、更新履歴だけがやけに頼もしく並び、肝心の訪問者は一人も現れなかった。 「……誰も来ないな」 独り言は、部屋の空気にすぐ溶けた。検索欄に自分のサイト名を打ち込んでも、出てくるのは見覚えのない断片ばかりで、肝心の erabenovel.com は静かなままだ。作ったはずの場所が、まだ世界のどこにも届いていない。そんな感覚だった。 椅子に深く座り直して、俺はページの作りを目で追った。見た目は悪くない。文章も、リンクも、最低限は揃っている。けれど、これだけでは足りないのだろう。誰かに見つけてもらうには、ただ置くだけじゃだめだ。まずは検索する側に、ここがあると正しく伝わる準備がいる。 「検索エンジンに、ちゃんと認識してもらわないと……」 口に出した瞬間、ようやく問題の形が見えた気がした。派手な宣伝をする前に、土台を整えるべきなのだ。名前がぶれないようにすること。説明が読まれても違和感がないこと。どのページが何を示しているのか、迷わせないこと。そういう地味な積み重ねが、入口を作る。 画面を開いたまま、俺はメモ帳を立ち上げた。サイト名、紹介の文、各ページの役割。思いつくまま書き出すだけなのに、不思議と胸が少し落ち着く。見つからない現実は変わらない。それでも、何を整えるべきか分かれば、次にやることはある。 「よし。まずは、見つけてもらう準備だ」 誰に言うでもなくつぶやいて、俺はカーソルを動かした。まだ訪問者のいない静かなサイトが、ほんの少しだけ先へ進む気配を見せていた。

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