エラベノベル堂

拾いものメイドの恩返し

全年齢

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4章 / 全10

「じゃあ、今日は外に出るか」 亮太がそう言うと、ミオはぱっと顔を上げた。さっきまでしょんぼりと伏せていた瞳に、ほんの少しだけ光が戻る。 「外、ですか」 「部品探し。お前の欠けたとこ、直せるかもしれないだろ」 「……はい」 二人で向かった先は、駅前から少し外れた路地の先にあるリサイクル工房だった。油と金属の匂いが混ざる店内には、棚いっぱいの部品や、用途のわからない工具がぎっしり並んでいる。亮太は思わず目を輝かせ、ミオはきょろきょろと周囲を見回した。 「すごい量だな……」 「分類しがいがあります」 「勝手に始めるなよ」 カウンター越しに現れた店主は、白髪混じりの男だった。亮太が事情をかいつまんで話すと、店主はミオの姿をしげしげと眺め、それから笑った。 「壊れてるから終わり、とは限らんよ」 「え?」 と亮太が聞き返す。 「組み合わせ次第で、別の用途が生まれる。足りないなら足りないなりに、別の形で生かせばいい」 ミオは、その言葉を反芻するように小さく口を動かした。 「別の、用途……」 「そうだ。新品だけが正解じゃない」 店主は奥の棚から、細い端子の束を引き出した。 「これなんかはどうだ。古い規格だが、工夫すればまだ使える」 亮太はそれを受け取り、ミオに見せた。 「ほら、こういうのだろ。欠けてるなら、別のやり方を考えればいい」 「……私でも、ですか」 「お前こそ、だろ」 ミオは端子をそっと受け取り、両手で包みこむように見つめた。自分の中の空白を数えるみたいだった表情が、少しずつほどけていく。 「壊れていても、組み合わせ次第で……」 「そうそう」 亮太がうなずくと、ミオは珍しく、ほんのわずかに笑った。 「では私も、まだ役に立てますね」 「最初からそう言ってる」 その後も、亮太はネジや小さな基板をいくつか選び、ミオは真剣な顔でそれを見守った。店主は何か言いたげに頬を緩めたが、結局は黙って二人を見送った。 工房を出るころには、空は高く、昼の光がまぶしかった。亮太が袋を持ち直した、そのときだった。 「亮太様」 「ん?」 「これ、持っていってもよろしいですか」 ミオの手には、工房の隅に置かれていた手のひらサイズの小型ロボがあった。丸い目をした試作品らしく、電源も切れたまま静かに抱えられている。 「え、いつの間に」 「置き去りにされているように見えました」 「だからって連れてくるなよ」 ミオは首をかしげ、当然のように答えた。 「もったいない、と思いました」 亮太は頭を抱えたが、ミオはもう工房へ戻る気配もなく、小型ロボを大事そうに抱えている。店主の 「その子は見本だよ」 という声が背中に届いたのは、ふたりが扉の外へ出たあとだった。亮太とミオは顔を見合わせ、しばらく黙って、同時に小さく息を吐いた。 「……どうする?」 「どうしましょう」 ミオの腕の中で、小型ロボはまだ眠ったままだった。

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