エラベノベル堂

町を守る五人組

全年齢

小説ID: cmnhipaa5000d01mz9wdahm82

2章 / 全10

翌日、五人は町内会館の会議室に集まり、正式な役割分担を決めた。赤は声の大きい元工場長、青は道に詳しい元配送員、緑は手先の器用な元大工、黄は人の顔を覚える元商店主、白は場を和ませる元保健師。問題は、白を任された美代子だった。白は清潔で優しい印象があると言われ、目立ちすぎず、誰にでも近づける役だと説明された。だが、いざ腕章と簡易の上着を身につけると、その穏やかな笑顔がやけに人目を引いた。商店街を歩くたび、子どもたちより先に若い母親たちが足を止め、あの人だけ妙に上品だとか、何か売りつけられそうで落ち着かないとか、勝手な噂が立った。本人はただ挨拶をしているだけなのに、白という色が、かえって遠さを生んでしまったのだ。五人はそれぞれの役が決まったことで安心するはずだったが、華やかな担当だけが浮く形になり、最初からつまずいた気分になった。そこで町の公園で開く交流イベントに、初めて揃って出ることにした。風船を配り、子どもに折り紙を教え、迷子の案内札を立て、重い荷物の持ち運びを手伝う。派手な名乗りも、決めポーズも用意した。だが、集まった人々の反応は薄かった。見物に来た若者は、昔ながらの勧善懲悪みたいな威勢を期待していたらしく、思ったより地味だと笑った。年寄りのくせに派手さだけはあると思っていた、という耳に痛い声も飛んだ。五人は笑顔を崩さず応じたが、胸の奥では小さな戸惑いが渦を巻いていた。人気を集めるには、ただ目立てばいいわけではない。ましてや、町の人が本当に求めているのは、見せ場よりも近さなのだと、まだ誰もはっきり言葉にできずにいた。夕方、片付けを終えた五人は、白い腕章を見つめる美代子の横顔を見ながら、普通の戦隊とは違う道を選んでしまったのかもしれないと、初めて思い始めた。

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