エラベノベル堂

町を守る五人組

全年齢

小説ID: cmnhipaa5000d01mz9wdahm82

3章 / 全10

それからの五人は、町内の小さな困りごとを拾って歩いた。電球が切れたままの集会所を直し、曲がった自転車のかごを整え、迷い犬の張り紙を貼り替え、雨の日には濡れた歩道に砂をまいた。大きな事件はなくても、困っている人は驚くほど多かった。赤の久志が大声で呼びかけ、青の達夫が最短の道を示し、緑の昭男が手早く道具を整え、黄の和彦が顔なじみを連れてきて、白の美代子が話の調子をやわらげる。五人がそろうと、不思議と作業は早く終わった。\n\n評判も少しずつ変わった。商店街の若い店主は、派手な決めポーズより、重い箱を黙って運んでくれるほうが助かると言った。子どもたちは腕章の色より、困ったときに名前を覚えていてくれることを喜んだ。最初は物珍しさで見ていた近所の人たちも、次第に 「また来てくれたのかい」 と自然に声をかけるようになった。\n\nそんな空気の中で、五人は少しずつ方針を改めた。朝の集まりでは名乗りの練習を減らし、代わりに町の巡回表を細かくつけた。腕章は残したが、赤や青の派手な上着は普段着に近いものへ変えた。白い美代子だけが目立つのではなく、五人が同じ高さで並ぶようにしたのだ。すると、煙たがるように見ていた若い母親たちも、あの人たちは押しつけがましくないと口にするようになった。\n\nある夕方、会館の前で転んだ少年を介抱していると、近くにいた老人がぽつりと笑った。あんたたちは戦隊というより、町の縁側みたいだな。誰かが吹き出し、五人もつられて笑った。派手さは少し減った。それでも、不思議と胸は晴れていた。美代子は白い腕章を指でなぞり、これならもっと近くに立てるねとつぶやいた。五人はうなずいたが、そのとき遠くの商店街から、子どもたちの歓声が聞こえてきた。見れば、閉めたはずの倉庫の扉が開き、そこに並んでいたのは、いつの間にか町の人たちが持ち寄った小さな贈り物の山だった。

3章 / 全10

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