蝉の鳴き声が強まる午後、二人目の客が店を訪れた。作業着を着た若い男で、帽子を深く被っている。 「いらっしゃいませ」 ひなたが声を上げると、男は野菜棚の方へ歩いていった。だが、彼の視線は明らかに商品ではなく、カウンターの中の彼女に向けられていた。白衣の裾から伸びる太もも。汗で肌に張り付く黒い生地のライン。男は野菜を手に取りながら、しきりにひなたの方を盗み見ている。 「あの、何かお探しですか」 「ああ、トマトを探してるんだけどね」 男はそう答えながら、わざとらしくカウンターに近づいてきた。 「君、暑くないの。白衣なんか着て」 「あ、これは……その……」 言葉に詰まるひなたに、男はニヤリと笑う。 「中に何着てるの。なんか黒いのが見えるけど」 びくりとして、ひなたは白衣の前を掴んだ。 「えっと、それは……」 「教えてよ。ねえ」 男の声には、ねっとりとした粘着質なものが混じっていた。その時、別の客が入ってきた。サラリーマン風の男だ。作業着の男は舌打ちをしながらトマトをカゴに入れ、会計を済ませた。 「また来るよ。その可愛い格好で待ってて」 耳元で囁かれた言葉に、ひなたは身を硬くした。サラリーマンは野菜を買うふりをしながら、じっとひなたを観察している。白衣の襟元から覗く鎖骨。胸元の膨らみの曲線。汗で濡れた前髪が額に張り付いている。 「すみません、これください」 会計時、サラリーマンはわざと小銭を床に落とした。 「あ、ごめんなさい」 ひなたが屈んで拾おうとすると、白衣の裾が持ち上がり、黒いスクール水着が露わになった。 「あ……」 あわてて立ち上がるが、サラリーマンは満足げに微笑んでいた。 「いやあ、いい店だ。また来させてもらうよ」 サラリーマンが去った後、ひなたは震える手でカウンターにしがみついた。店にはまだ客が来る。この先、何が待っているのか。不安と、得体の知れない熱が、身体の中で混ざり合っていた。
白衣の収穫
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