エラベノベル堂

満員電車で刻印が滲む

18+ NSFW

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3章 / 全10

「離して……っ!」 ひなたの声は、満員車内の熱気に吸い込まれて消えた。サラリーマンの手が白衣の襟首を掴み、その力は人間離れした強さだった。 「にぃ……あぁ……」 喉の奥から漏れる呻き声は、もはや言語を成していない。操られた乗客たちは、全員がひなたに向かって腕を伸ばしていた。 ( Transformation――いや、ダメだ!) 変身のキーワードが脳裏をよぎる。しかし、こんな場所で魔法少女に変身すれば、正体が露見するどころの話ではない。研究所での立場も、日常も、すべてが崩壊してしまう。 「くっ……!」 ひなたは白衣のポケットから小さな護身用のアーティファクトを取り出した。本来なら結界を張り、一般人を避難させるためのものだが、今は緊急回避として使うしかない。 「シュッ……!」 アーティファクトが淡い光を放つ。しかし、効果は薄かった。操られた乗客たちは一瞬だけ足を止めたものの、すぐに再び動き出す。粘液の支配力は、ひなたが予想していた以上に強力だった。 「そんな……効かないの?」 絶望が胸をよぎる。周囲の人々は、もはや彼女にとって守るべき対象ではなく、敵となっていた。 前から、後ろから、左右から。男たちの腕がひなたの体を拘束していく。白衣のボタンが弾け飛び、黒いスクール水着が露わになる。 「やめて……お願いだから!」 抵抗しようと手足を振り回すが、多勢に無勢。何十本もの腕が彼女を押さえつけ、身動きを封じていく。まるで肉の壁に挟まれ、圧殺されようとしているかのような恐怖。 「あぐっ……苦しい……!」 胸元に食い込むスクール水着の縁が、激しく動くたびに肌を擦る。汗で張り付いた布地が、乳房の曲線を強調するように伸びていく。 (逃げなきゃ……でも、みんなを傷つけたくない……!) ジレンマが思考を凍らせる。強力な攻撃魔法を使えば、巻き込まれるのは操られた一般市民だ。彼女はただ押し潰されることしかできなかった。 「にぃ……ひな……た……」 耳元で、誰かが彼女の名を呼んだ気がした。背筋に冷たいものが走る。 (なんで……名前を知ってるの?) 天井からは新たな粘液が滴り落ち、ひなたの無防備な鎖骨に触れた。生温かい液体が、ゆっくりと肌を滑り降りていく。 「いやぁ……!」 彼女の悲鳴は、しかし、誰にも届かなかった。満員電車という密室の中で、桜羽原ひなたは完全に孤立無援の状態に陥っていた。

3章 / 全10

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