エラベノベル堂

封印が解けて精霊に溺れる

18+ NSFW

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3章 / 全10

「君が例の転校生か」 翌日の昼休み、美咲は声をかけられて振り返った。そこには銀髪の少年が立っていた。琥珀色の瞳が、彼女を値踏みするように見つめている。 「僕はレオン。昨日編入してきたばかりなんだ」 「……そう」 美咲は曖昧に頷いた。 「何か用?」 「用がないと話しかけてもいけないのか」 レオンは軽く肩をすくめ、美咲の隣に座った。彼が近づいた瞬間、鞄の中のローターが激しく振動し始めた。ぶるぶると音を立てて、まるで警告を発しているようだ。 「っ……」 美咲が慌てて鞄を押さえると、レオンは意味深に微笑んだ。 「その神器、なかなか大人しくならないようだね」 「これのこと、知ってるの?」 「多少は」 彼は声を潜めた。 「図書館で古い文献を見たことがある。グラトニア――古代の封印神器だろ」 美咲は息を呑んだ。教師たち以外に、このローターの正体を知る人間がいるとは思わなかった。 「どうしてそれを?」 「興味があってね」 レオンは窓の外に目を向けた。 「この学園の地下には、古代遺跡が眠っているらしい。その封印に関わるものだと」 「地下……?」 「行ったことはないかい。夜中に抜け出して探索してみると面白いかも」 彼はそう言い残して立ち去った。美咲はその背中を見送りながら、鞄の中でいまだ振動し続けるローターを握りしめた。 その夜、美咲は寮を抜け出した。監視の目を盗むのは意外なほど簡単だった。廊下の角を曲がるたび、ローターが微かに光って方向を示してくれる。 「これ、私を誘導してる……」 地下室への階段は古びた石造りで、壁には見知らぬ文字が刻まれている。一段降りるごとに空気が冷たく濃密になっていく。 「来たね」 暗闇の中からレオンの声がした。彼は松明を掲げ、薄暗い回廊の奥を指差す。 「この先に祭壇がある。君の神器が目覚めたのは、封印が弱まっている証拠だ」 「封印って、何を?」 「それは見れば分かる」 二人は狭い通路を抜け、円形の部屋に辿り着いた。中央には石の台座があり、そこには複雑な魔法陣が刻まれている。美咲が近づいた瞬間、ローターが激しく脈打った。 「ここに……何かあるの?」 「ああ。君がその神器を手に入れたのは偶然じゃない」 レオンは静かに言った。 「君の魔力が、封印を解く鍵なんだ」 美咲は台座を見つめた。ローターの振動が指先から腕へと伝わり、身体の芯を熱くさせる。まるで何かが彼女を呼んでいるようだ。 「手に入れたって……これ、私のじゃない」 「今は君のものだ。そして、その力が必要な人間がいる」 レオンは彼女の手を取った。 「僕と協力してくれないか。この封印の正体を突き止めるために」 美咲は彼の真剣な眼差しを見返した。琥珀色の瞳に、松明の光が揺れている。 「……分かった。協力する」 その約束が、後にどのような結果をもたらすか、彼女はまだ知らなかった。

3章 / 全10

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