エラベノベル堂

背徳の夜へ

18+ NSFW

小説ID: cmnp79geb000l01lfkokg3nj8

8章 / 全10

「美咲さん、あなたの本質を教えてあげましょう」 佐伯が彼女を地下室へと導いた。重い鉄の扉が開くと、そこには冷たい空気が漂っている。 「ここは……」 「この社交場の心臓部です。あなたのお父様が、何を考えてこの場所を作ったのか、その真意がここにあります」 部屋の中央には、巨大なモニターが設置されていた。佐伯がスイッチを入れると、無数の映像が映し出される。 「これは……」 美咲は息を呑んだ。社交場の各所に設置されたカメラからの映像だった。男たちが女性たちと交わる姿、密談する政治家の姿、金銭のやり取り。 「すべて記録されています。政財界の要人たちの弱みを握り、支配するためのシステムです」 「お父様がこれを……」 「ええ。総理大臣は、この国の権力者たちを一枚岩にまとめるために、秘密のネットワークを作り上げた。そしてその中心にいたのが、あなたのお母様でした」 美咲は拳を握りしめた。母がこのシステムの一部だったという事実が、胸を締め付ける。 「ですが、お父様は一つ計算違いをしました」 佐伯が彼女の背後に立ち、耳元で囁いた。 「あなたのお母様が亡くなった後、このネットワークを維持するための新たな中心が必要になった。それがあなたです」 「私は……道具だったのね」 「道具ではありません。心臓です。あなたがいなければ、このシステムは機能しない」 佐伯の手が彼女の腰に回る。 「美咲さん、私はあなたを愛しています。だがそれは、普通の愛ではありません」 「歪んだ愛ね」 「おっしゃる通りです。私はあなたを支配し、所有することに快感を覚える。同時に、あなたが他の男たちと交わる姿を見ることで、喜びを感じる」 美咲は振り返り、佐伯の瞳を見つめた。 「マスター、あなたは私を利用して、お父様を出し抜こうとしているのね」 鋭い指摘に、佐伯は一瞬表情を固くした。 「……鋭い。その通りです。総理大臣の娘を手に入れることで、私はこのネットワークの主導権を握る。政治的な力も、金も、すべてが手に入る」 「そして私を、永遠に縛り付ける」 「ええ。あなたはもう逃げられない」 美咲は黒曜石を取り出した。掌の中で脈動する熱が、彼女の決意を固めさせる。 「マスター、一つだけ教えて。この石の真の使い方——母様が最後に遺した言葉、知っている?」 佐伯の表情が曇る。 「……何を知っていますか」 「この石は、持つ者の服従心を刺激するだけではないわ。母様の日記を見つけたの」 美咲は静かに微笑んだ。 「この石は、持つ者の意志の強さに比例して力を増す。つまり——支配される側から、支配する側へと転じることができる」 「まさか……」 「お父様も、あなたも、私を見くびっていた。私はただの人形だと思っていたでしょう?」 美咲は佐伯に歩み寄った。 「マスター、あなたの歪んだ愛、受け入れるわ。ただし——私が上に立つ」 黒曜石が激しく脈動し、二人の間の空気が変わり始めた。

8章 / 全10

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