エラベノベル堂

時間停止の深淵へ

18+ NSFW

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2章 / 全10

翌朝、美咲は授業を終えて職員室に戻ると、不機嫌そうな顔つきで教材を机に放り出した。生徒の一人が授業中に彼女の胸元をじっと見ていたのだ。スクール水着で戦う変身ヒロインであることなど知る由もない生徒たちだが、無意識に彼女の肢体を値踏みする視線には辟易していた。 「……はあ」 重いため息をついて窓の外を見る。今日もまた、夕暮れ時にはダンジョンが出現する予兆があった。 その頃、隣の部屋では角野喜一郎が薄暗い室内で目を閉じていた。彼の持つ予知能力は、未来に起こる出来事を断片的に映し出す。脳裏に広がる光景、それは美咲が異形の敵に辱められる姿だった。 「ほお……これは傑作じゃ」 老人の唇が歪む。予知の中で、青い水着姿の彼女が敵の幹部らしき人型の怪人によって壁に押し付けられている。時間が止まったかのように動けない彼女の体に、怪人の手が這い回る様は扇情的だった。 「記憶を失っているというのが、また味があってよい」 美咲の過去については、角野はすでに調べ上げていた。半年前、行き倒れていた彼女を正義の女神が救い、変身能力を与えた。それ以前の記憶は一切ないという。その空白が、老人の計画に利用可能な弱点だと気づかせた。 「ダンジョンの深層へ誘導すれば、自ずと破滅への道を歩むじゃろうて」 角野は電話帳を開き、怪しげな組織の連絡先を指でなぞった。異次元からの侵略者と通じる裏ルートを持つ仲介業者だ。 「……金などいくらでも払う。わしの望みを叶えてもらう」 夜になり、美咲は再び変身してダンジョンへ向かった。今日の敵は粘液質の体を持つ軟体系の怪人だ。 「どこから来ても無駄よ」 美咲は敵の動きを読み、素早く攻撃をかわす。しかし、怪人の動きが奇妙だった。まるで彼女の攻撃を予測しているかのように、完璧なタイミングで回避するのだ。 「……何?」 違和感が胸をよぎった瞬間、背後から別の気配が迫る。角野からの情報提供を受けた敵幹部が、暗闇の中で冷ややかな笑みを浮かべていた。 「見つけたよ、変身ヒロイン」 美咲が振り返った時には、すでに遅かった。敵の能力が発動し、世界から音が消える。時間停止。彼女は認識したまま、指一本動かせない状態に陥った。 「くっ……!」 心の中で叫ぶも、唇は動かない。敵幹部がゆっくりと近づいてくるその姿を、彼女は見つめることしかできなかった。

2章 / 全10

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