柔らかなベッドの感触に、美和はゆっくりと目を開けた。朝の光がカーテンの隙間から差し込み、薄暗い寝室を照らしている。 「ん……」 身じろぎすると、体の奥底に痺れるような感覚が残っていることに気づいた。昨夜の記憶がフラッシュバックする。浴場での出来事。幽霊たちの手。抵抗できずに快感に溺れた自分。 「そんな……私……」 美和はシーツを握りしめた。恥ずかしさと後悔、それに理解できない甘い疼きが胸の奥で混ざり合う。 「どうしてあんな……」 体はまだ熱を持っているようだ。太ももの内側を走る微かな震えが、昨夜の開発の痕跡を物語っていた。美和は深呼吸をして立ち上がろうとした。その時だ。突然、視界が歪んだ。 「え……?」 頭の中で何かが弾ける感覚。次の瞬間、目の前に光景が浮かび上がった。見知らぬ場所。玉座の間のような荘厳な空間。そこに宏樹が立っている。彼の周囲を、黒い影が取り囲んでいた。 「宏樹……?」 映像は音もなく進む。宏樹は何かを語りかけている。その表情は、美和が知っている幼馴染のものとは違っていた。苦しげで、決意に満ちた顔。そして影の中から、不吉な言葉が読み取れた。 「嘘をついている」 「彼女を守るため」 「危険が迫っている」 美和は喘ぎながらベッドに手をついた。 「これ、なに……?」 映像はさらに広がる。宏樹が重ねてきた嘘の数々。家宝のこけしに込められた真実。ゴスロリ衣装の本来の役割。そして何より、彼自身が背負っている危険な運命。裏世界の帝王として君臨する代償。美和の胸が激しく高鳴った。 「宏樹……ずっと私を……」 予知の光景は唐突に消えた。けれど残った感情は消えない。彼が自分を守るために隠してきた真実。彼自身に迫る危機。美和は自分の手を見つめた。サキュバスとして転生した体。そして今、目覚めたばかりの予知能力。 「守るだけじゃない……私も」 彼女は震える手で、枕元に置かれた不気味なこけしを握りしめた。冷たい木の感触が、不思議と心を落ち着かせる。予知能力が告げていた。このこけしには、まだ美和が知らない力が秘められていると。
催眠の闇で未来を掴む
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