エラベノベル堂

催眠の闇で未来を掴む

18+ NSFW

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8章 / 全10

廊下に響いていた荒い息遣いが、次第に収まっていく。美和は冷たい石畳に膝をついたまま、ぼんやりと立ち去っていく幽霊たちの背中を見送った。 「満足しただろう」 「帝王の伴侶に相応しい体になりつつある」 彼らが残した言葉が、頭の中で反響する。 「伴侶……?」 美和は震える足で立ち上がった。体にはまだ快楽の余韻が残っている。けれど、心の奥底で何かが引っかかっていた。彼らは最初からこう言っていた。帝王の伴侶ともあろう者が、と。美和はふらつく足で歩き出した。気づけば、巨大な両開きの扉の前に立っていた。玉座の間だ。扉を押し開けると、荘厳な空間が広がる。玉座は空だった。けれど、その座には宏樹の気配が染み付いているようだった。 「宏樹……」 彼の名を呟いた瞬間、再び視界が歪んだ。予知能力だ。目の前に光景が浮かび上がる。玉座に座る宏樹。その前に跪く幽霊たち。 「彼女の体は順調に開発されています」 「サキュバスとしての本能も目覚めつつあります」 宏樹は満足げに頷いた。 「いい。彼女を帝王の伴侶に相応しい体へ仕上げろ」 「御意」 美和は息を呑んだ。 「嘘……」 透視の光景は続く。宏樹が独り言のように呟く。 「美和を守れるのは俺だけだ。そのためには、彼女を強くしなければならない」 歪んだ愛情。彼なりの方法で、美和をこの世界に適応させようとしていたのだ。 「そんな……ひどい」 けれど、胸の奥が熱く疼く。裏切りへの怒りと、それ以上に、彼が自分を必要としているという事実への興奮。 「私を、伴侶に……」 体が震えた。怒りか、快楽か、それとも別の感情か。美和は玉座を見上げた。 「宏樹、あなたは私を道具にしようとしたのね」 唇が歪む。けれどそれは、怒りだけではない笑みだった。 「なら、私も覚悟を決めないといけない」 彼女の手が、無意識に家宝のこけしを握りしめていた。

8章 / 全10

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