エラベノベル堂

奪われし記憶、魔女の刻

18+ NSFW

小説ID: cmnrjo97m000001nweethmmhu

2章 / 全10

どれくらいの時間が経過したのだろうか。玲奈は薄れゆく意識の中で、自分が柔らかなものに横たえられている感覚を覚えた。まぶたが重く、指一本動かすことさえ億劫になる。 「ここは……」 掠れた声が唇から漏れる。目を開けると、薄暗い天井が視界に広がっていた。見知らぬ石造りの壁、薄く灯る蝋燭の明かり。彼女は身体を動かそうとして、手首に冷たい金属の感触を確認した。 「気づかれましたか」 聞き覚えのある声に、玲奈は首を巡らせる。雅樹がベッドの傍らに立っていた。穏やかな微笑みは変わらないが、その瞳には昏い光が宿っている。 「マスター……?ここはどこなの?私、どうして……」 彼女は身体を起こそうとしたが、手首と足首がベルトのような拘束具でベッドのフレームに固定されていることに気づいた。 「動かないでください。せっかくの準備が無駄になります」 雅樹は指先で玲奈の頬をなぞる。その指先は熱を帯びていた。 「あなたは特別な方だ、玲奈さん。初めて店に来た時から気づいていました。あなたが持つ、人を惹きつける特異な資質に」 「資質……?何のこと?」 玲奈は恐怖で声が震える。 「あなたの周囲にいる人間が、なぜか興奮状態に陥る。無意識のうちに、周囲の情欲を刺激するフェロモンのようなものを発している。それがあなたの特殊体質です」 雅樹は熱っぽい眼差しで彼女を見下ろす。 「私は長い時を生きてきました。かつては歴史に名を残した身として、数多の女性を知りましたが……あなたのような存在は初めてです」 「何を言っているの?そんなこと……」 「信じられないかもしれませんが、真実です。あなたのその体質、私のサークルの仲間たちも喉から手が出るほどに求めている」 玲奈は身体をよじって拘束から逃れようとするが、ベルトは頑丈に固定されていた。 「逃げようなんて考えないでください。ここは地下です。誰にも聞こえません」 雅樹の指が玲奈の首筋を滑り、鎖骨の窪みをなぞる。 「今晚はゆっくり休んでください。明日からは新しい生活が始まりますから」 彼は静かに身を翻し、鉄の扉へと向かう。 「マスター、待って!お願い、帰して!」 「玲奈さん、あなたは選ばれたのです。誇りに思ってください」 重い音を立てて扉が閉まる。玲奈は一人、薄暗い地下室に残された。心臓の鼓動だけが耳に響く。彼女の唇から、震える息が漏れた。

2章 / 全10

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