エラベノベル堂

寝台列車、血の刻印

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8章 / 全10

「見つけたわ。でも……これは何?」 美香が指でなぞった刻印の下から現れたのは、複雑な幾何学模様だった。しかし、その意味を読み取る間もなく、健太郎が懐中時計を高く掲げた。 「遅いぞ。もう起動している」 懐中時計の文字盤が青白く発光し、こけしの底部と共鳴する。美香の手の中で木彫りが熱を帯び、思わず取り落としてしまった。 「あっ……!」 「そのこけしは起動装置だ。お前の家系に代々伝わっているのは、単なる家宝ではない。快楽への感度を極限まで高めるための遺伝子鍵なのだよ」 健太郎が懐から小さな装置を取り出した。銀色の円盤で、表面には流れるような光が脈動している。 「これは未来の技術だ。神経系に直接働きかけ、快楽中枢を強制的に活性化させる」 「そんなもの……効くわけがない……!」 美香は後ずさりしようとしたが、足が動かない。装置が放つ不可視の波が、彼女の体を包み込んでいた。 「効くさ。お前は私の子孫だ。この遺伝子鍵に対応する回路が、お前の体には最初から組み込まれているのだからな」 熱が下腹部から湧き上がってくる。心臓の鼓動に合わせて、全身が甘く痺れ始めた。 「うっ……くぅっ……!」 「感じるだろう? それは血筋に刻まれた記憶だ。お前の母も、その母も、皆この快楽に溺れてきた」 「嘘よ……!」 「嘘ではない。私が過去へ来て、彼女たちも同様に開発したのだからな」 美香の膝が崩れた。床に手をつき、荒い息を吐く。体内の熱が暴れ回り、理性を焼き尽くそうとしている。 「あぁっ……何これ……やめて……!」 「やめる必要はない。受け入れろ。お前の体は、快楽を糧として生きるように作られているのだ」 健太郎が近づき、美香の顎を強引に持ち上げた。濁った瞳が、挑発的に彼女を見下ろしている。 「さあ、認めるのだ。お前は快楽に弱い。私の血を引く者は皆、そうなのだとな」 「違う……私は……!」 美香は必死に抵抗しようとしたが、唇から漏れたのは甘い嬌声だけだった。体が裏切り、熱を求めてしまっている。 「いい反応だ。今夜はたっぷりと、お前の本能を書き換えてやろう」 健太郎が装置の出力を上げると、美香の背中が弓なりに反った。強烈な快感が脳髄を貫き、何も考えられなくなる。 「あぁぁっ……!」 「絶体絶命だな、美香さん。だが安心しろ。この快楽は永遠に続くのだからな」

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