エラベノベル堂

プールの底、霊の囁き

18+ NSFW

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9章 / 全10

翠葉学園の準備室で橘が気絶した直後、彼のデスクに置かれたノートパソコンが激しく明滅し始めた。美咲は異変を察知し、画面を覗き込む。 「何これ……カウントダウン」 数字が刻々と減っていく。残り時間は一時間。場所は都心の広場。 「まさか、自動実行されるようになっていたの」 美咲は急いで橘の体を揺さぶったが、彼は意識を取り戻す気配がない。その時、ノートパソコンから不気味な音声が流れた。 「計画最終段階へ移行。霊的エネルギー充填率九十パーセント」 美咲は背筋が凍るのを感じた。橘はすでに逃げ道を断っていたのだ。 「どうすればいいの」 彼女の中にいる幽霊たちが答える。 「都心の広場に行け。そこで儀式が行われるはずだ」 「でも、どうやって止めるの」 「我々の力を使え。お前の魅了の能力と、我々の霊力を融合させるのだ」 美咲は頷き、制服のまま夜の街へと駆け出した。都心の広場に到着すると、すでに多くの人々が集まり、不穏な空気が漂っていた。 「何か変よ」 美咲は能力を発動し、集まった人々の感情を読み取った。恐怖、怒り、絶望。負の感情が渦巻き、暴動が始まろうとしている。 「見つけた」 広場の中央に、奇妙な装置が設置されていた。水晶のような物体が不規則に明滅し、周囲の霊的エネルギーを吸収している。 「あれが元凶ね」 美咲は装置に近づき、手をかざした。幽霊たちの力が彼女の中で高まり、全身から淡い光が放たれる。 「止めるのよ」 装置が反応し、強烈な衝撃波を放った。美咲は吹き飛ばされそうになるが、見えない手に支えられた。 「大丈夫か」 幽霊たちが実体化し、彼女を守るように囲む。 「みんな……」 「お前は一人じゃない。我々と共に戦え」 美咲は立ち上がり、再び装置へと向かった。今度は防御されず、直接触れることができた。 「あぁっ……」 指先が水晶に触れた瞬間、強烈な快感が全身を貫いた。装置は霊的エネルギーを吸い取ろうとし、美咲の体から力が奪われていく。 「だめ、負けるな」 幽霊たちが彼女の背後に回り込み、温かい力を注ぎ込んだ。 「我々の分まで使え」 美咲は目を閉じ、魅了の能力を最大限に発動させた。彼女の体から眩い光が放たれ、装置を包み込む。 「終わりよ」 光が水晶を貫き、内部から崩壊させた。同時に集まっていた人々の負の感情が浄化され、広場に静寂が戻った。 「やったのね」 美咲はその場に膝をつき、荒い息を吐いた。幽霊たちが彼女の周りに集まり、労いの言葉をかける。 「よくやった」 「世界は救われたのだから」 だがその時、ノートパソコンの画面に新たなメッセージが表示された。 「計画失敗。代替案を実行します」 美咲は戦慄した。まだ終わっていないのだ。 「何なの、これ」 空が不気味な赤色に染まり、地上に巨大な影が落ちた。美咲は見上げ、息を呑んだ。 「あれは……」 空に浮かぶ巨大な目が、彼女をじっと見つめていた。橘の計画は、世界破滅の予備手段を含んでいたのだ。

9章 / 全10

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