草薙の熱が私の中で脈打つたび、視界が奇妙に歪んだ。薄暗い地下室の天井が螺旋を描いて回転し、その中心から過去の光景が浮かび上がってくる。 「見えるだろう? 君の記憶の底にあるものが」 草薙の声が、水を通して聞くようにくぐもって響く。 私は見た。高校の教室で、陰湿な無視を続けていた女子たちの顔。大学のサークルで、私を笑いものにした男子たちの声。そして職場で、陰口を叩きながらも私の体を舐めるように見ていた上司の目。それら全てが渦巻き、溶け合っていく。 「あぁっ……んんっ……!」 草薙の腰が緩やかに揺れるたび、私の中で熱い波が押し寄せる。三人の男たちが注ぎ込んだ液体と草薙の熱が混ざり合い、子宮の奥で重たい塊となって胀れていく感覚。 「君は彼らを恨んでいた。だが、恨みというのは自分自身を苛む毒だ」 「そんな……ことっ……」 「分かるはずだ。催眠が君の意識の扉を開いている」 不思議なことに、恐怖や怒りが薄れ、奇妙な透明感が心に満ちていく。部屋の隅に立つ三人の男たちの顔をもう一度見た。虚ろな瞳、だらりと下げた腕、魂の抜け殻のような姿。 彼らは哀れだった。自分の欲望に押し潰され、操り糸に踊らされる人形。かつて私を傷つけた彼らも、また因果の被害者だったのだ。 「……可哀想」 私の口から自然と言葉が漏れた。 「えっ?」 草薙が目を細め、私の顔を覗き込む。 「彼らが……哀れなの。自分でも気づかないうちに、こんな形でしか欲望を処理できないなんて」 「ほう? それは興味深い」 草薙の指が私の涙を拭う。その仕草は奇妙なほど優しかった。 「怒りではなく、慈悲を感じているのか」 「……分からない。でも、彼らが憎めなくなっている」 私の体の中で熱い塊がゆっくりと動き、痺れるような快感となって全身に広がる。それは単なる肉体的な快楽ではなく、もっと深い場所――魂の芯を揺さぶる感覚だった。 「アオイさん、君は因果を理解し始めている。彼らもまた、過去の被害者に過ぎない」 「じゃあ……私が彼らを許すべきなの?」 「許す必要はない。ただ、哀れむといい。それが慈悲だ」 草薙の動きが深くなる。私の中で熱い楔が最奥を突き、理性の境界線を溶かしていく。 「あぁっ……ああっ……!」 快楽の波が押し寄せるたび、過去の記憶が色を失っていく。いじめられた痛みも、振られた屈辱も、全てが遠い過去の出来事として淡白になっていく。代わりに、今この瞬間の感覚だけが鮮明になる。 「君の中で因果が溶けている。過去の痛みが、快楽へと変換されているんだ」 「そんな……ことっ……!」 「嘘じゃない。君の体が証明している」 確かに、私の体は熱く疼き、草薙を受け入れることを渇望していた。三人の男たちが注ぎ込んだ液体が、私の中で新たな意味を持ちはじめる。それは汚辱ではなく、因果を浄化する聖水のように感じられる。 「っ……あぁ……!」 草薙が深く突き入れ、私の最奥で再び熱を放った。その瞬間、脳裏に白い閃光が走り、意識の芯が溶け落ちる。 「見えたかい? 真理の入り口が」 私は涙で滲んだ視界の中で、部屋の隅に立つ三人の男たちを見た。彼らはもう恐ろしくない。ただ哀れで、愛おしい存在だった。 「……見えた気がする」 私の唇から漏れた言葉は、自分でも驚くほど穏やかだった。
救世主という名の嘘に
18+ NSFW小説ID: cmnu3babe000001s8q0ew3pjz
