エラベノベル堂

勇者の本能、目覚める

18+ NSFW

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9章 / 全10

倉庫の奥から、拍手が響いた。 「素晴らしい、実に素晴らしい」 白髪の老人がゆっくりと歩み出てくる。レイの表情が凍りついた。 「キザル……生きていたのか」 「お前が俺を殺したと思っていたのか? 残念だったな」 キザルと呼ばれた老人は、サクラを品定めするように見つめた。 「伝説の勇者の転生、か。想像以上の力だ」 「サクラ、そいつに近づくな」 レイが彼女の前に立とうとしたが、キザルが手を振ると、見えない力で押し返された。 「レイ、お前は隠していたようだが、この娘に真実を話したか?」 サクラは眉をひそめた。 「真実って何?」 キザルは愉悦に満ちた笑みを浮かべた。 「彼は知っていたのだよ。お前がかつて、同じ体質で苦しみ、最後には男たちに嬲り殺しにされたことを」 「何……?」 サクラはレイを見上げた。 「どういうこと?」 レイは唇を噛み、視線を逸らした。 「……本当だ。俺はタイムマシンで過去に戻り、お前を救おうとした。だが、一度は失敗した」 「失敗?」 「ああ。お前は俺が助けに向かう前に、組織の男たちに捕まり、その体質を利用されて……死んだ」 サクラの胸が締め付けられた。 「じゃあ、私は一度死んでいたの?」 「タイムマシンで時を戻り、今度こそ守ろうとした。だが、運命は変えられなかった。お前は再び同じ体質に目覚めた」 キザルが割り込んだ。 「彼はお前を守ると言いながら、結局は失敗したのだ。そして今また、同じ過ちを繰り返そうとしている」 「違う! 今度は守ってみせる!」 レイが叫ぶ。サクラは震える声で尋ねた。 「レイ……私、本当は何度も苦しめられたのね」 「だが、今度こそ——」 「もういい」 サクラは彼の言葉を遮った。体内の熱がさらに高まり、体質の変異が進んでいくのを感じる。 「真実を隠していたこと、許さないとは言わない。でも、もう私を守る必要はない」 彼女は一歩前に出た。 「私は勇者。自分の運命は、自分で切り拓く」 キザルが嘲笑った。 「ほう、面白い。では、試してみようか」 彼が指を鳴らすと、新たな男たちが現れた。サクラの体から、これまで以上に濃厚な甘い香りが漂い始める。 「あっ……香りが……」 だが、香りは男たちを狂わせることはなかった。サクラの瞳が黄金色に輝き、香りを清らかな光へと変換していく。 「私はもう、以前の私じゃない」 彼女の手から放たれた光が、男たちを次々と吹き飛ばした。キザルは驚愕の表情を浮かべた。 「バカな……催淫ガスが聖なる力に……」 「レイ、あなたと戦うつもりはない。でも、もう隠し事はしないで」 サクラは彼に手を差し出した。 「共に戦いましょう。二人で、この運命を終わらせるために」 レイは彼女の手を取り、強く握りしめた。 「ああ、約束する」 二人は並んで立ち、最後の敵に向き合った。だが、サクラの体内でさらに強く燃え上がる熱を、彼女自身まだ理解できていなかった。勇者の覚醒とともに変異した体質は、これまでとは比べ物にならない力を秘めていた。

9章 / 全10

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