エラベノベル堂

古寺の異形へ

18+ NSFW

小説ID: cmnysvmv6000b01ljmzz794c0

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9章 / 全10

暗闇の中で、ひなたは浮遊していた。体も心も、快楽に溶かされて消えてしまいそうだ。遠くで誰かの声が聞こえる気がした。『姫様……』誰の声だろう。意識が沈んでいく。深く、深く、底なしの闇へ。だが、その瞬間だった。腹の奥底で、どくりと何かが脈打った。 「あ……?」 熱かった。焼けるような熱が、下腹の中心から全身へと広がっていく。子宮の奥で何かが目を覚ました。そして、叫んだ。『我が主』ではない。ひなた自身の内なる声だった。 「いや、何、これ、熱い」 意識が一気に引き戻される。目を開けると、視界が白く染まっていた。体内に注ぎ込まれた白濁液が、熱源となって脈動している。だが、不思議と不快ではなかった。むしろ、力が湧いてくる。 「私の体、何が起きてるの」 ひなたが体を起こそうとした瞬間だった。粘液生物がびくりと震えた。触手異形もまた、動きを止める。二体の異形たちは、ひなたから距離を取るように後退り始めた。 「えっ、何」 逃げるのか。怯えているのか。ひなたの体内の熱は更に高まり、黄金色の光が肌の下で明滅し始めた。 「ああっ、何か、出てくる」 口から声にならない旋律が溢れた。それは古い言霊だった。巻物に記されていた言葉が、自然と唇を動かす。 「我は器にして、門。我は主にして、鍵」 光が爆発的に広がり、蔵全体を包み込む。異形たちが怯えたように身を縮めた。そして、ゆっくりと、その巨体を床へと沈めていく。 「ひざまずいてる……?」 粘液生物も触手異形も、頭を垂れ、ひなたの前に平伏していた。その気配は、先ほどまでの貪欲な欲望に満ちたものから、明確に変化していた。主人を崇めるような、絶対的な服従。 「まさか、私を、主って」 ひなたは自分の手を見つめた。白濁液と粘液で汚れた肌の下で、力が満ちていく感覚。彼女はまだ知らない。今夜、彼女が目覚めさせたのは、異形を従える 「姫」 としての資格だった。眷属を得たひなたの運命は、大きく動き出したのだ。

9章 / 全10

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