エラベノベル堂

女優の仮面の下へ

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6章 / 全10

翌日、怜は大学の講義を終えてアパートに戻ろうとした時、黒いセダンが路肩に停まっているのに気づいた。車の窓が下り、黒木が顔を出す。 「君に話がある」 怜は立ち止まった。黒木は運転席から降りず、怜を見上げた。 「金で解決しよう。これを受け取って、紗英様の前から消えてくれ」 黒木が差し出した封筒には、現金が入っているようだった。怜はそれを一瞥もしなかった。 「いりません」 「君ごときの人生が変わる額だぞ。大学の学費も、将来の就職先も、すべて面倒を見てやる。あるいは、実家の威光で君の将来を潰すこともできる」 黒木の目が冷たく光った。怜は静かに息を吸った。 「紗英さんは、あなたが思っているような人形じゃない」 「何?」 「あなたは彼女を管理することで、自分の価値を確認している。彼女が実家の意向に従うほど、あなたの存在意義が増す。そうだろう?」 黒木の表情が強張った。怜は続けた。 「紗英さんの実家は、彼女を商品として見ている。あなたはその管理人だ。でも、彼女が自分の意志で動き始めたら、あなたの仕事はなくなる。だから怖いんですね」 「……勘違いするな。私は紗英様のために——」 「自分のためにでしょう。プライドと虚栄心を満たすために」 黒木が言葉に詰まる。その時、アパートのドアが開き、紗英が駆け寄ってきた。 「黒木さん、彼を巻き込まないで。私、実家に戻るから」 「紗英さん、ダメです」 怜は彼女の手を取った。 「あなたの人生は、あなたのものです」 黒木は舌打ちし、車に乗り込んだ。 「……金曜の舞台を楽しみにしているよ」 セダンが走り去る。紗英は怜の手を握りしめた。 「……どうして、あんなに強い言葉を」 「あなたを守りたかったからです」 怜は彼女を部屋へと導いた。ドアが閉まると、紗英は彼にしがみついた。 「怖かった……私、また誰かの思い通りになるのかって」 「もう誰にも支配されない」 怜は彼女を抱き寄せ、唇を重ねた。今夜の口づけは、昨夜までとは違う。守りたいという意志と、求め合う熱情が混ざっていた。 「んっ……怜君……」 紗英の指が彼のシャツを握る。怜は彼女をベッドへと押し倒し、服の上から身体を撫でた。彼女の背中が震え、熱い吐息が漏れる。 「あっ……んん……」 怜の手が彼女の服を取り去り、露わになった肌に唇を這わせる。鎖骨、胸のふくらみ、脇腹。彼女の身体が快感に跳ねる。 「やっ……そこ、んっ……!」 彼女の太ももを開き、怜は舌先でその秘められた熱源を愛撫した。濡れた花弁が彼を迎え入れ、甘い蜜が溢れる。 「ああっ!んっ、だめ……!」 敏感な芽を吸い上げると、彼女の背中が弓なりに反った。 「怜君、お願い……来て……」 怜は自身を彼女の入口に当てがい、ゆっくりと沈めた。熱い襞が彼を包み込み、奥へと誘う。 「ああっ!……んっ、あ……!」 深く貫かれ、紗英は快楽の声を上げた。 「んっ、あっ、ああ……!怜君、好き、好き……!」 彼女の脚が怜の腰を絡め、更深くを求める。互いの熱が混ざり合い、部屋には二人の吐息と水音が響いた。 「いくよ」 「あっ……!私も、んんっ……!」 二人は同時に果てた。怜は彼女の最奥に熱い精液を放ち、紗英はそのすべてを受け止めた。 「……あ……」 震える彼女を抱きしめ、怜はその髪を撫でた。 「あなたは、もう一人じゃない」 紗英は涙を拭い、微笑んだ。 「……うん。私、強くなれる気がする」 彼女の瞳には、もう迷いがなかった。

6章 / 全10

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