エラベノベル堂

偽恋人は夜を走り抜く

18+ NSFW

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3章 / 全10

指定された高級ホテルのスイートルームは、夜景を一望できる最上階にあった。リナがカードキーで解錠すると、重厚なドアが静かに開く。 「えっ、ここ一人で泊まるの?」 「いいえ、あなたも泊まるの」 俺は思わず立ち止まった。 「……は?」 「カップルの呼吸を合わせるには、時間が必要でしょ?明日のパーティーまで、ここで打ち合わせするの」 広すぎる部屋——キングサイズのベッド、バルコニー、ジャグジー付きのバスルーム。夜景の光が部屋全体を照らしている。リナは窓際に立ち、街の灯りを背に俺の方を向いた。 「カイトさん、座って」 ソファに促されて座る。彼女はテーブルを挟んで向かいに座り、資料を広げた。 「パーティー会場は郊外の私有地。主催者は不明、参加条件はカップルのみ、それも——」 彼女は一瞬言葉を区切った。 「『親密さの証明』が必要」 俺は資料を覗き込む。写真には、男女が絡み合う姿——過激なパーティーの様子が映っていた。 「これ、まさか……」 「ええ、監視の下で……その、行為を見せる必要があるの」 リナの頬が薄く染まる。強気な配信者としての顔が、今は脆く揺らいでいる。 「リナさん、無理しなくていいんだ。俺が守るから」 俺の言葉に、彼女は驚いたように顔を上げた。 「……優しいね」 彼女の瞳が潤む。 「画面の向こうでは、いつも強くあらなきゃって……でも本当は、ずっと怖かった」 彼女は膝を抱えるようにしてソファに丸まった。小さく、脆く、守ってあげたくなるような姿。 「ストーカー、最初はファンだと思ってた。でも次第にエスカレートして……家に侵入されたこともあるの」 俺は彼女の隣に移動した。 「……ごめん、弱音吐いちゃって」 「いいよ。俺に話してくれて」 彼女は俺の肩に頭を預けてきた。髪から甘い香りが漂う。 「カイトさん……あなたと出会えてよかった」 俺は彼女の肩を抱いた。細く、華奢な身体——画面越しの輝きの裏に、こんな脆さが隠されていたのか。彼女は顔を上げ、俺を見つめた。潤んだ瞳、薄く開いた唇——誘っているのか、ただ甘えているだけなのか。 「明日、うまくやれるかな……」 「大丈夫。俺がリードするから」 俺の言葉に、彼女はふっと笑った。 「……頼りになるね」 彼女の指が、俺の手の甲を撫でる。熱い体温が伝わってくる。夜はまだ長い——俺たちは明日の準備をしながら、互いの距離を少しずつ縮めていった。

3章 / 全10

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