エラベノベル堂

仮面の下の素顔

18+ NSFW

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3章 / 全10

翌日の昼下がり、哲也は美奈の職場近くにあるファミレスの窓際席で待機していた。美奈から聞いていた佐田という男——彼女は 「親切にしてくれる同僚」 と言っていたが、その語尾にはいつも微かな違和感が漂っていた。十五分ほど待っただろうか。自動ドアが開き、細身の男が入ってくるのを見て、哲也は直感した。こいつだ。 「初めまして、佐田です。美奈ちゃんから聞いてますよ、喫茶店のマスターさん」 男は愛想よく挨拶をしながら、向かいの席に滑り込んできた。丸顔で人当たりの良さそうな外見。だが、その細い目は笑っていない。哲也は背筋に冷いものを感じながら、平静を装って頷いた。 「哲也だ。美奈ちゃんから、いろいろ助けてもらってるらしいね」 「いえいえ、同僚として当たり前のことをしたまでです。彼女、最近ずっと悩んでるみたいで……私が力になれることがあれば何でもって」 佐田はため息交じりに首を振った。その仕草は親切な同僚そのものだが、哲也には演技に見えた。会話の節々で、相手を値踏みするような視線が混じるからだ。 「佐田さんは、美奈ちゃんのコスプレ活動についてどう思ってるんですか」 「ええ、素敵な趣味だと思いますよ。応援してます」 言葉は丁寧だ。だが、その目には暗い熱が宿っていた。執着——あるいは独占欲。哲也は確信した。この男は美奈を特別な目で見ている。単なる同僚の好意ではない、もっと歪んだ感情だ。 「実は俺、美奈ちゃんの頼みで調べることがあってね」 哲也は試すように言った。 「あの騒ぎの犯人、分かるかもしれない」 佐田の表情が一瞬、凍りついた。コンマ数秒の空白。そして、張り付いたような笑顔が戻る。 「……そうですか。早く捕まると良いですね」 「ええ。絶対に逃がしませんよ」 二人の視線が交錯した。佐田は席を立った。 「では、私これで。美奈ちゃんによろしくお伝えください」 去り際、男の背中を見送りながら、哲也は確信していた。こいつが黒幕だ。そして美奈は、まだ何も知らない。

3章 / 全10

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