エラベノベル堂

仮面の下の素顔

18+ NSFW

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第5章 / 全10章

数日後、哲也は以前のツテを使って情報を集めていた。佐田の背後にあるもの——それが単なる個人的な執着なのか、それとももっと大きな闇なのか。バーの個室で、情報屋の男から写真を受け取った。 「これ、マジかよ」 写真には、佐田が怪しげな男たちと密会している様子が数枚映っていた。薄暗い路地裏、怪しげなネットカフェ——どれもまともな場所ではない。 「あいつ、あのコスプレイヤーの個人情報を裏のサイトに流してるみたいだぜ。住所、電話番号、スケジュール……全部だ」 情報屋が煙草を燻らせながら告げた。 「目的は?」 「金だろ。それとも売った先の連中に彼女を回すつもりかもな。どっちにしろロクなもんじゃねえ」 哲也の拳が強く握りしめられた。美奈が直面している危険は、想像を遥かに超えていた。あの男——美奈が 「親切な同僚」 と信じていた男——は、最初から彼女を餌にするつもりだったのだ。翌日、哲也が店に戻ると、美奈がすでにカウンターに座っていた。いつものブレンドを両手で包み込み、窓の外をぼんやりと眺めている。 「……来ちゃいました。家にいたくなくて」 彼女は無理に笑おうとしたが、その顔には深い疲労が刻まれていた。目元の隈はさらに濃くなり、頬も少し窶れている。 「今日も変なメールが来て……もう限界です。どこに行っても誰かに見られてるような気がして」 哲也はカウンター越しに彼女の手を握った。冷え切った指先が、少しずつ温まっていくのを感じた。 「無理すんな。ここにいていいから」 「本当ですか? 哲也さんの迷惑になりませんか?」 「迷惑なもんか。俺は……お前がここにいてくれる方が安心だ」 美奈の目が少し見開かれ、やがて嬉しそうに細められた。 「ありがとうございます……あの、これからしばらく、毎日来てもいいですか?」 「当然だ。閉まるまでいていい」 それから美奈は、朝は仕事に行き、終わればまっすぐに 「琥珀」 へ来るようになった。カウンター席に座り、コーヒーを飲みながら、時には眠ってしまうこともあった。哲也が店を閉める時間になっても、帰りたがらない日が増えていった。 「……ごめんなさい、また寝ちゃって」 ある夜、目を覚ました美奈が恥ずかしそうに言った。 「いいから。安心して眠れるなら、それで」 哲也は彼女にブランケットをかけ直しながら、決意を新たにしていた。佐田を止めなければ——美奈の日常を取り戻すために。店の外では、すでに夜の闇が深まっていた。明日、動く——そう心に決めて。

第5章 / 全10章

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