エラベノベル堂

謝罪ごっこ

18+ NSFW

小説ID: cmod0svrp0c5901llv9wqqyli

7章 / 全10

カイトは一晩中モニターと向き合っていた。炎上の原因を探るため、関連するスレッドやSNSを徹底的に調査した。 「やっぱりな」 朝日が差し込む頃、彼は確信を得た。無関係な配信者の不祥事が引き金だが、それを利用してリナを標的にした 「炎上野郎」 たちの存在。彼らは面白がってデマを拡散し、正義感を装って誹謗中傷を繰り返している。 「リナ」 カイトは事務所のソファで眠る彼女に声をかけた。リナは涙の跡を残したまま、浅い眠りについていた。 「ん……カイトさん?」 彼女が目を擦りながら起き上がる。 「原因が分かった。それと……対策も」 「対策?」 「反撃だ」 カイトは彼女に一枚のイラストを見せた。悪役令嬢。リナが以前コスプレしたことのあるキャラクターだ。 「これで、どういう意味ですか?」 「お前、このキャラのセリフ覚えてるか?」 リナが首を傾げる。 「『庶民のくせに生意気よ』とか……?」 「そうだ。それを逆手に取る」 カイトは説明した。誹謗中傷をそのまま読み上げ、悪役令嬢になりきって 「フン、庶民の戯言ね」 と嘲笑う動画。徹底的にキザに、高飛車に。視聴者を味方につけ、炎上野郎を小馬鹿にする。 「……でも、そんなの怒られませんか?」 「怒る奴は今も怒ってる。変わらない」 カイトはリナの目を真っ直ぐに見た。 「それに、お前の才能を見せつけるチャンスだ」 リナは黙り込んだ。不安と迷いが入り混じる表情。だが、その奥に小さな光が見えた。 「……やります」 決意の声。 「私、もう逃げたくない。カイトさんがそこまで言ってくれるなら」 撮影は即座に行われた。リナは悪役令嬢の衣装に身を包み、完璧なメイクを施す。ウィッグを被り、性格の悪いお嬢様になりきる。 「カイトさん、これでどう?」 彼女がカメラに向かって傲慢なポーズをとる。カイトはモニター越しに頷いた。 「完璧だ」 編集作業が始まった。カイトは渾身の力を込めた。派手なエフェクト、皮肉たっぷりのテロップ、嘲笑うようなBGM。誹謗中傷の言葉を逆手に取り、それを笑い飛ばす構成。夜が更けても、二人は作業を続けた。 「……カイトさん」 リナが不意に声をかけた。 「なんだ」 「本当に、ありがとうございます」 カイトはキーボードを打つ手を止めた。 「礼を言うのは、まだ早い」 「いいえ。結果どうあれ、私のためにここまでしてくれて」 リナが彼の隣に座る。 「カイトさんがいたから、私、頑張れます」 彼女の瞳が、真っ直ぐに彼を見つめる。その光景に、カイトは胸の奥が熱くなるのを感じた。 「……アップするぞ」 彼は照れ隠しのように言い、エンターキーを押した。動画がアップロードされる。後は、ネットの反応を待つだけだ。 「いける。絶対に」 リナが祈るように呟いた。カイトは無言で彼女の肩を抱いた。この賭けに勝つ。彼女の笑顔を取り戻すために。

7章 / 全10

TOPへ