エラベノベル堂

禁断の処方箋

18+ NSFW

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2章 / 全10

結菜は自宅のカーテンをきつく閉め切っていた。スマートフォンの画面には、止まることのない誹謗中傷が流れ続けている。 「売女」 「死ね」 「調子に乗るな」 ——文字の羅列が網膜を焼き尽くす。 「なんで……私が……」 彼女は人気コスプレイヤーとして活動を始めて三年。最初は憧れだった。ファンの笑顔、イベントでの出会い、SNSへの感謝の言葉。しかし成功と共に影も濃くなった。少しのきっかけで炎上は始まる。 「正直に言ったまでだと言われたら、それまでなんだけど」 結菜は乾いた笑いを漏らした。だが恐怖はネットだけに留まらない。最近、自宅周りで不審な人物を見かけるようになった。窓の外、街灯の下に佇む影。郵便受けに入れられる手紙。どれも同じ文字で 「愛してる」 と繰り返されている。彼女の精神は限界に近づいていた。そんな夜のことである。碧斗が路上で小さなアイテムを見つけたのは。それはキーホルダーだった。キャラクターの形をした、明らかに女性の持ち物だ。彼は周囲を見渡したが、持ち主らしき人物はいない。 「識別コード……製造番号から所有者を特定できる可能性がある」 碧斗はそれを拾い上げた。帰宅後、彼はネットで調べ始めた。キーホルダーのキャラクター、限定販売の店舗、SNSでの投稿。論理的な検索プロセスにより、あるアカウントに行き当たる。 「結菜……コスプレイヤーか」 彼は彼女の投稿をいくつか確認した。綺麗な写真。だが、コメント欄は罵詈雑言で埋め尽くされている。そして、彼女が近隣の住人であることを突き止めた。 「届けるべきだ。紛失物の返還は合理的な行動だ」 翌日、碧斗は彼女の住所を訪れた。アパートの入り口で呼び出しボタンを押す。 「はい……どなたですか」 返ってきた声は震えていた。 「碧斗です。あなたの落とし物をお持ちしました」 しばらくの沈黙の後、ドアが少しだけ開いた。隙間から警戒するような瞳が彼を覗く。 「これ……本当ですか」 「持ち主を特定し、返却する。それだけです」 結菜はドアを開けた。彼女の顔は青白く、目の下には濃い隈がある。明らかに睡眠不足、そして精神的に追い詰められていた。 「ありがとうございます……これ、大事だったから」 彼女はキーホルダーを握りしめ、かすかに微笑んだ。だがその笑顔はすぐに曇る。 「あの……もしかして、ネットで私のこと調べましたか」 碧斗は頷いた。 「所有者特定のために必要な調査でした」 「そうですか……」 結菜は視線を落とした。 「もう誰も信じられなくて……ストーカーがいて、ネットでは罵られて……怖くて眠れないんです」 碧斗は彼女の状態を観察した。論理的思考が働かない状態。精神的な崩壊が進んでいる。 「解決策は存在するはずです」 彼はそう呟いた。脳裏に触手の記憶がよぎる。あの体液が持つ特性——感度を高め、快感を与える効果。もしそれを彼女に使えば、少なくとも一時的な安らぎは得られるかもしれない。碧斗は自身の思考の非倫理性を理解していた。だが同時に、放っておけないという感情も認識していた。

2章 / 全10

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