エラベノベル堂

毒の華

18+ NSFW

小説ID: cmofdebsp004a01kd2soqm3d3

3章 / 全10

重い鉄の鎖が手首に食い込み、皮膚を擦りむいて血が滲む。直樹は灼熱の太陽の下、他の奴隷たちと共に石を運ばされていた。異部族の拠点は山間の要塞にあり、新たな見張り台の建設が進められている。 「おい、サボるな!」 鞭が空を切り、直樹の背中を叩いた。 「ぐっ……!」 「動け、穀潰しが」 屈辱に歯を噛み締めながら、直樹は重い石を担ぎ直した。薬剤師としての前世の知識、癒やしの技術、それらはここでは何の役にも立たない。彼はただの肉体として扱われていた。夜になると奴隷たちは地下の牢獄に押し込められる。湿った壁、腐った藁、鼻をつく排泄物の臭い。 「おい、新入り」 隣にいた痩せた男が囁いた。 「あんた、連れてこられた時、女と一緒だったろ」 直樹は弾かれたように顔を上げた。 「その女、何があったか知っているか」 「詳しくは知らねぇ。だが、連れてこられた女はみんな首領様の屋敷へ行く。そこで……まあ、察しろよ」 男は暗い目で天井を見上げた。 「帰ってきた者はいない」 直樹は拳を握りしめた。莉音がどんな扱いを受けているのか、想像するだけで怒りが体を震わせた。脱出しなければ。彼は周囲を観察し始めた。見張りの交代時間、鍵の保管場所、警備の薄い時間帯。薬剤師として培った観察眼は、今は生き残るための武器だった。ある夜、直樹は見張りの兵士たちが酒盛りをする声を聞いた。 「へへっ、あの女、昨晩もいい声で鳴いてたぜ」 「俺の番はいつだ? 首領様、独り占めすんなよ」 「文句言うな。順番は回ってくる」 直樹は怒りで目の前が赤くなった。莉音が夜ごと犯されている。数十人の兵士たちに身体を開かされ、性の道具として扱われているのだ。 「許さない……絶対に」 直樹は暗闇の中で誓った。復讐する。莉音を取り戻す。そのためには生き延び、知識を活かさなければならない。彼は地下牢の隅に生える小さな草を見つけた。毒草だ。少量なら睡眠薬、大量なら致命的な毒になる。直樹は密かにその葉を摘み取り、懐に隠した。復讐の準備は始まっていた。

3章 / 全10

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