エラベノベル堂

風が変えた夜

18+ NSFW

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2章 / 全10

翌日、岳はゆいか食堂の厨房にあるノートパソコンを広げた。画面には色分けされたグラフと数値が並んでいる。 「結花、これを見てくれ」 結花は不安げに画面を覗き込む。 「これは……」 「過去三ヶ月間の売上データと、通りの人流を可視化したものだ。アウトドアサークルで身につけた観察技術を応用した」 岳は落ち着いた声で説明を始める。赤い線がゆいか食堂の客数、青い線がカトレアの客数を表していた。その差は歴然としていた。 「ひどい……こんなに開いてたなんて」 結花は唇を噛みしめる。 「でも、ここを見てくれ」 岳が特定の時間帯を拡大する。 「昼のピーク時、カトレアの回転率が落ちている。一方、うちの店は待ち時間が少ない。ここが攻略ポイントだ」 「でも、お客さんはカトレアを選んでるじゃない」 「味じゃない。雰囲気とブランド力だ。でも、それだけじゃない」 岳は真剣な眼差しで結花を見つめた。 「結花、俺に協力してほしい。二人でこの店を建て直そう」 結花は黙り込んだ。プライドが邪魔をしていた。幼馴染に助けを求めることが、どこか惨めに感じられたからだ。しかし、画面上の赤い線が頭から離れない。このままでは本当に店を失う。 「……わかった。お願い、岳くん。私にできることは何でもする」 結花は深く頭を下げた。岳は優しく微笑む。 「まずは特訓だ。明日から始めよう」 「特訓?」 「メニュー開発と接客、そして店の強みを活かす方法。徹底的に鍛え直す」 結花は覚悟を決めて頷いた。店を守るためなら、どんな努力も惜しまない。二人の逆転劇が、ここから始まろうとしていた。

2章 / 全10

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