エラベノベル堂

舞姫、盤上を制す

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6章 / 全10

翌日の午後、真人は大学近くのカフェで待っていた。華凛との密やかな夜から一夜明け、彼女は家に戻り、両親との話し合いに臨んでいる。真人はコーヒーを飲みながら、盤面を頭の中で描いていた。九条の慢心はすでに見抜いている。あとは決定的な一手を打つだけ——。 「城ノ内真人さん、ですね?」 不意に声をかけられ、真人は顔を上げた。そこに立っていたのは、三十代半ばほどの男だった。柔らかな物腰、穏やかな笑み。着こなしたジャケットに、骨董品のような独特な雰囲気が漂う。 「突然すみません。私は橘晃といいます。古美術商をしております」 男は真人の向かいの席に、断りもなく座った。 「用件を聞こうか」 「単刀直入に言います。あなた、華凛さんの婚約破棄を画策していますね?」 真人は表情を変えなかった。心の中で駒を動かし、相手の手を読む。 「……それがどうした」 「九条雅之という男の背後には、私のような者たちが絡んでいる。単なる家同士の縁談ではありませんよ」 晃は笑みを崩さぬまま、声を潜めた。 「藤代家には、隠された財産があるのです。古い文書、美術品……そして、ある権利。それを狙っているのは九条だけではありません。裏社会の利権が、複雑に絡み合っている」 真人は晃を睨んだ。 「なぜ俺にそれを話す」 「面白そうだからです。あなた、将棋をするそうですね。盤上で相手を追い詰めるのが得意だと」 晃は名刺をテーブルに置いた。 「九条の弱点は、自分が盤上の最強の駒だと思っていること。だが、彼はただの捨て駒に過ぎないかもしれません」 立ち去り際、晃は振り返った。 「城ノ内さん。この勝負、私はあなたに賭けてみますよ。ただし——勝ったとしても、今度はあなたが私の盤上に立つことになる。覚悟しておいてください」 晃が去ったあと、真人は名刺を握りしめた。事態は単なる婚約破棄を超えている。だが、引くわけにはいかない。その夜、華凛が真人の部屋を訪れた。 「真人さん……昨日の話、お母様たちは聞く耳を持ってくれなかったわ。でも、私、決めたの。どんな形でも、あなたと一緒にいるって」 彼女の瞳には、決意と不安が入り混じっていた。真人は彼女を抱き寄せ、唇を重ねた。 「俺もだ。お前を守り抜く」 服が脱がされ、白い肌が露わになる。真人は彼女の胸に顔を埋め、敏感な尖りを舌で転がした。 「んっ……あぁ……真人さん……」 指を秘所に滑らせると、すでに熱く濡れていた。 「……待って、お願い……私の中に……」 真人は自身を彼女の秘唇に押し当て、ゆっくりと沈み込ませた。 「あぁぁっ……んっ、あっ……!」 華凛が背を反らし、甘い声を漏らす。動き始めると、部屋に激しい吐息が響いた。 「あっ、あぁっ! 真人さん、好き……大好きっ……! もっと、もっと……!」 彼女の足が腰に絡みつき、互いの体が強く密着する。 「俺もだ……華凛……!」 果てた瞬間、熱い飛沫が最奥に注がれ、二人は強く抱き合った。事態は危険な局面に入っていた。だが真人は決めていた。この勝負、必ず勝つと。

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