その日の午後、凪は家事を済ませようと洗濯室へ向かった。乾燥機のブザーが鳴り、温かい洗濯物を取り出そうとする。その時だ。 「あれ……?」 一枚のパンツがふわりと浮き上がった。熱を帯びて微かに蒸気を上げるその布地が、まるで透明な手に支えられたように空中に静止する。 「嘘……やめて……」 凪は後ずさりした。パンツの中に、ぼんやりとした影が入り込んでいく。白濁した霧のようなものが布地を満たし、徐々に人の形をとり始めた。 「温かい……なんて温かいんだ……」 しわがれた男の声がパンツの中から漏れる。続いて、別のパンツも浮き上がった。さらに別の、また別の。洗濯かごから次々と下着が舞い上がり、それぞれに幽霊たちが入り込んでいく。 「見つけたよ……やっと触れる」 「妻の肌に……もう一度」 実体化した幽霊たちは、熱を帯びた布越しに凪の体温を感じ取ろうと近づいてきた。 「来ないで!輝、何とかして!」 『彼らはお前の温もりに飢えている。拒めば逆に執着が強まるぞ』 「そんな……!」 凪は逃げようと转身けたが、冷たい手が腕を掴んだ。 「逃がさないよ」 背後から抱きすくめられ、耳元に冷たい息がかかる。 「いい匂いだ……生きている匂いがする」 寝室へと引きずり込まれる。ベッドに押し倒された瞬間、スプリングが軋んだ。 「やめて……奏人が帰ってくる……」 「今は誰も来ない」 幽霊の一人が凪の上に覆いかぶさる。実体化した体は冷たいのに、どこか確かな質感を持っていた。 「少しだけ……少しだけでいいんだ」 太ももに冷たい手が這い上がる。凪は抵抗しようとしたが、体が動かない。輝の力が、彼女を従順にさせているのだ。 「んっ……」 ブラウスのボタンが外され、露わになった肌に幽霊たちの視線が集中する。 「きれいな肌だ……ああ、触りたい」 複数の手が、凪の体をまさぐり始める。冷たい指先が脇腹を滑り、鎖骨をなぞり、太ももの内側へと伸びていく。 「いや……お願い、やめて……」 涙が頬を伝う。しかし、体の奥底で熱が疼き始めていた。恐怖に震える心とは裏腹に、秘められた場所が潤み始めている。 「ああ、濡れてる……いい子だ」 幽霊の指が、ショーツの布地越しに秘所を押した。 「んぐっ……!」 電流が走ったような感覚に、凪は唇を噛んだ。 「受け入れろ。そうすれば、気持ちよくなれる」
宿霊の凪
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