中年の男が凪の中で果てた瞬間、彼の体は光の粒子となって散っていった。 「ありがとう……娘に、謝れた……」 最期の言葉を残して。凪は荒い息を吐きながら、残る二体の霊を見上げた。 「次は……あなたたちの番だよ」 若い男の霊がおずおずと近づいてくる。透き通るような肌に、切なげな瞳。 「僕は……婚約者を病気で亡くしたんです。結婚式を待たずに」 彼は凪の前に膝をつき、震える手で彼女の手を取った。 「あの日、ドレス姿の彼女に触れるはずだった。でも、もう二度と……」 凪は若い男の頬に手を伸ばした。 「私が、その代わりになってあげる」 彼女は自ら太ももを開き、秘められた場所を露わにした。若い男は涙を流しながら、凪に身を重ねてくる。 「いいのか、本当に」 「うん。あなたの未練、全部私が受け止める」 彼の熱く滾ったものが、濡れた入り口を押し広げた。比喩的に言えば、雨露に濡れた花びらが、訪れる者を優しく包み込むように。 「んっ……ああっ……」 凪は背中を反らせ、彼を受け入れた。冷たいはずの幽霊の体が、不思議な熱を帯びていく。二人の体液と霊液が混ざり合い、薄い光を放ち始めた。 「ああ……温かい……彼女と繋がっているみたいだ」 若い男は凪の耳元で囁き、優しく腰を揺らした。これは凌辱ではない。魂を救済するための、神聖な儀式のような結合だった。 「んんっ……もっと、深く……」 凪は彼の背中に腕を回し、引き寄せた。体の奥底で熱い塊が弾け、光が部屋中に広がっていく。若い男は満足げに微笑み、光の中へと消えていった。 「ありがとう……君のおかげで、やっと会いに行ける」 最後に残ったのは、老人の霊だった。彼は静かに近づき、凪の前に座り込んだ。 「わしはな、妻に先立たれてから、一度も『愛してる』と言えんかった。照れくさくてな」 老人は照れくさそうに笑った。 「死ぬ間際に、そう言えばよかったと後悔した。それが、わしの未練じゃ」 凪は優しく微笑んだ。 「じゃあ、今から言いなさい。私が聞いてあげるから」 老人の目に涙が光った。 「すまんのう……」 彼はゆっくりと凪に抱きつき、耳元で囁いた。 「愛してる……愛してるよ……」 老人の体は、温かい光となって凪を包み込み、そして消えていった。『見事だ』体内から輝の声が響く。『お前は彼らを救った。未練という鎖を解き、成仏へと導いたのだ』凪はシーツに横たわり、天井を見上げた。体中に霊液が飛び散り、薄く光っている。日常と非日常の狭間。彼女はその境界線に立っていた。
宿霊の凪
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