エラベノベル堂

舞台の処方箋

18+ NSFW

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フェチズム VOL.27〜アイドルのヒ・ミ・ツ編〜

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3章 / 全10

美鈴は悠陽のまなざしを受けて、居心地の悪さを感じていた。自分の奥底を見透かすような、静かで、けれど逃れられない視線。舞台上で観客の前に立つことには慣れている。だが、この青年の目は違う。演技も仮面も通用しない、本色を覗き込む眼差しだ。 「……案内します」 美鈴は立ち上がり、楽屋の奥にある薄暗い廊下へと歩き出した。悠陽は無言でついてくる。古い劇場の壁は所々剥れ、湿った空気が漂っていた。 「この劇場、昔からあるんです」 美鈴は話題を変えるように言った。 「建物自体はボロですが、舞台は本物です。客席数は少ないけれど、その分、役者と観客の距離が近い」 「美鈴さん」 悠陽の声に、彼女の足が止まる。 「はい」 「さっきの話ですが、あなたが舞台上で見せている輝きは、きっと本物です。ただ……その光が、あなた自身を焼いているのではないですか?」 美鈴は息を呑んだ。見透かされている。図星だった。舞台の照明を浴びる瞬間だけ、自分が存在していると感じられる。幕が下りた後の虚無感が、彼女を内側から蝕んでいた。 「……鋭いんですね」 彼女は自嘲気味に笑った。 「信太郎さんも同じようなことを言っていました。私の演技には、嘘があると」 その時だった。劇場の奥から、不審な影が通り過ぎた。人の形をした何かが、音もなく移動していく。 「誰かいるんですか?」 悠陽が問いかけた。 「今の時間、役者は私だけのはず……」 美鈴の声が震える。影は再び現れ、今度は明らかに二人の方へ近づいてきていた。美鈴はとっさに悠陽の手を取り、近くの扉を開けた。 「こちらへ」 狭い階段が地下へと続いている。 「地下資料室です。ここなら……」 二人が駆け下りた直後、頭上で重い音が響き、扉が閉まった。地下の空間に、静寂が降りる。 「……閉じ込められましたね」 悠陽の冷静な声が、暗闇の中で響いた。

3章 / 全10

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