エラベノベル堂

彼女に喰われる

18+ NSFW

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第3章 / 全10章

「いらっしゃいませ」 店員の明るい声が出迎える。木の床と白い壁、至る所にキャットタワーが設置された開放的な空間だ。十数匹の猫が思い思いの場所でくつろいでいる。樹は葵咲の様子を窺った。彼女は入口で立ち尽くしていた。 「どうした?」 声をかけると、葵咲が小さくくしゃみをした。 「……何でもない」 だが、その直後またくしゃみが続く。一度、二度、三度。止まらない。 「ちょっと、大丈夫?」 彼女の目尻に涙が滲んでいた。くしゃみのせいか、それとも別の理由か。 「猫……」 葵咲が掠れた声で呟く。 「猫の毛か? アレルギーあるの?」 樹の問いに、彼女は首を横振った。 「ないわよ……そんなの」 だが、くしゃみは止まらない。それどころか、白い肌が徐々に紅潮し始めていた。首筋から頬、耳の裏までが薄い桃色に染まる。 「顔、真っ赤だよ」 樹が手を伸ばして彼女の額に触れると、驚くほど熱かった。 「熱い……」 「……触るな」 葵咲が彼の手を払い除けたが、その動きは力がなく、どこか頼りなかった。 「息、荒いし。座ったほうがいい」 樹は店員に声をかけ、個室への移動を頼んだ。 「奥の貸切ルームが空いてます」 案内されたのは、ガラス張りの小さな個室だった。猫が入ってこないよう、空気清浄機が稼働している。 「ここで休んで。水持ってくる」 樹が立ち上がろうとすると、葵咲が彼の袖を掴んだ。 「……行かないで」 潤んだ瞳が彼を見上げる。紅潮した頬、乱れた呼吸、濡れた唇。それらが組み合わさり、艶めいた光景を生み出していた。樹はドキリとした。彼女の体温が袖から伝わってくる。 「わかった……ここにいる」 彼は葵咲の隣に座った。狭いソファで、二人の身体が触れ合う。 「ごめん……なんか、変なの」 彼女が彼の肩に頭を預けてきた。銀髪から甘い香りが漂う。 「猫のせいじゃない……はず」 その声は熱っぽく、甘さを帯びていた。樹は彼女の肩を抱いた。密着した身体から、熱い体温が伝わってくる。 「無理しなくていいんだからな」 「……うん」 葵咲の吐息が首筋にかかる。樹の心臓が早鐘を打ち始めた。不良少女として恐れられる彼女が、今は無防備に身を委ねている。その事実が彼の中に眠っていた欲望を揺り動かし始めていた。

第3章 / 全10章

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