「ハンカチ、貸して」 樹はポケットから清潔な布を取り出した。 「汗、すごいよ」 葵咲の額には玉のような汗が浮かんでいる。彼女は抵抗することなく、されるがままになっていた。 「……気持ち悪い」 「そんなことない」 樹は彼女の顔に触れた。くしゃみの涙で潤んだ目元を、優しく拭っていく。アレルギー反応なのか、それとも別の何かが作用しているのか。彼女の肌は火のように熱く、ほんの少し触れただけでも指が痺れるようだった。 「んっ……」 ハンカチが頬を滑った瞬間、葵咲の唇から甘い吐息が漏れた。 「そこ……変な感じ」 紅潮した肌は感度を増しているようで、樹の指が動くたびに彼女の身体が小さく震える。 「ごめん、痛かった?」 「違うの……なんか、痺れるような……」 彼女の声が次第に甘く潤んでいく。樹はハンカチを握りしめたまま、彼女の首筋へと視線を落とした。汗で少し湿った銀髪が、白い肌に張り付いている。改造制服の襟元から覗く鎖骨が、艶めいた光を帯びていた。 「あのさ、首も拭いたほうが……」 「ん……いいよ」 葵咲が少し顔を上げ、潤んだ瞳で彼を見つめた。その瞳には、普段の冷徹さは微塵もない。あるのは、熱に浮かされたような曖昧な光だけ。樹はごくりと唾を飲み込んだ。彼女の首筋にハンカチを当てる。柔らかな肌の感触が、布越しに伝わってくる。脇腹から腰にかけて、熱塊がじわりと広がっていくのを感じていた。 「樹……」 葵咲が彼の名前を呼んだ。その声が鼓膜を震わせ、背筋に甘い痺れを走らせる。 「何?」 返答しながらも、樹の視線は彼女の唇に吸い寄せられていた。潤んだ唇が、熟れた果実のように艶やかに光っている。 「……なんか、暑い」 彼女が身体をよじり、さらに密着してきた。柔らかな感触が腕に押し当てられる。樹の心臓が激しく脈打った。理性が揺らぎ始めていた。このまま彼女を抱きしめたい。その肌に唇を押し当てたい。禁忌の欲望が、胸の奥から湧き上がってくる。樹は自分の股間が熱く疼くのを感じていた。彼女の艶めいた姿が、網膜に焼き付いて離れない。 「葵咲……」 「……何?」 彼女が見上げた。熱に潤んだ瞳、紅潮した頬、わずかに開いた唇。その全てが、樹の理性を削り取っていく。彼は自分の欲望の深さに、恐怖と興奮を同時に感じていた。
彼女に喰われる
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