エラベノベル堂

灼熱研究室の雪女

18+ NSFW

小説ID: cmoyx0p2n000001o097g9504q

7章 / 全10

「マイナス五度……マイナス十度……?」 信一は呆然とエアコンの表示を見上げた。室温が下がるどころか、表示は異常な速度で氷点下を突き進んでいく。 「先生、これ……どういうことですか」 莉子が震える声で問いかける。彼女の肌には汗が浮いたままだったが、その表面に鳥肌が立ち始めていた。 「わからない。故障してたはずが、なぜ今になって」 信一は莉子の肩を抱き寄せた。二人はまだ裸のまま、机の前に立ち尽くしている。さっきまでの情事の熱気が、まるで嘘のように消え去ろうとしていた。 「寒い」 莉子が信一の胸に顔を埋める。 「先生、暖かいですね」 その言葉に、信一は彼女を強く抱きしめた。汗ばんだ肌同士が触れ合い、わずかながら温もりを分け合う。 「エアコン、止まらないのか」 信一はリモコンを探したが、どこにも見当たらない。表示はすでにマイナス二十度を越えていた。 「莉子、服を着よう。このままじゃ凍える」 「はい」 二人は散らばった衣服を拾い上げた。だが、指先がかじかんでうまく動かない。 「待って、先生」 莉子が突然、信一の腕を掴んだ。その指は氷のように冷たかった。 「あれ、見てください」 彼女が指差した先には、何もない空間があった。だが、よく見ると、そこから白い霧が湧き上がっている。 「これは……」 信一は言葉を失った。莉子が小さな声で囁く。 「先生、私の悪戯は、ここまでです。でも、これは……」 彼女の顔が蒼白になる。 「本物の雪女が、いるんじゃないですか」 信一は背筋が凍りつくのを感じた。表示はマイナス三十度を示し、研究室は急速に冷蔵庫と化していった。

7章 / 全10

TOPへ