テレビから流れるクリスマスソングに耳を傾けながら、裕太はおにぎりの包装を剥いていた。缶ビールを開け、一口飲む。冷たい炭酸が喉を通り抜けていく。窓の外では雪が静かに降り積もっていた。部屋の中は暖房のおかげで温かい。 「さて、何を見るか……」 リモコンを手に取り、チャンネルを変える。クリスマス特番、恋愛ドラマ、バラエティー番組。どれもカップル向けの内容ばかりだ。結局、元のチャンネルに戻す。 「あーあ、本当に一人だな、俺」 自虐的に呟きながら、おにぎりを一口食べた。その時だった。 ピンポーン。 突然、玄関のチャイムが鳴り響いた。 「えっ……?」 裕太は手を止めた。こんな時間に、誰が訪ねてくるのだろう。クリスマスイブの夜、友人たちは各自の予定があるはずだ。家族も遠方に住んでいる。ネット通販の配達にしては遅すぎる。 「間違い……じゃないよな」 もう一度チャイムが鳴る。裕太は首を傾げながら立ち上がった。アパートの廊下を歩き、玄関へ向かう。ドアスコープを覗こうとしたが、何となくためらわれた。珍しい訪問者に、心臓が少しだけ早鐘を打つ。 「はい、どなたですか?」 返事はない。不審に思いながらも、意を決してドアを開ける。 「……え?」 そこには、真っ赤なサンタ衣装を身に纏った女性が立っていた。 雪が舞う寒空の下、彼女は立ち尽くしている。赤いサンタ帽、白い毛皮の縁取り、そして体のラインを強調するようなタイトな衣装。露出度の高い胸元、短いスカートから伸びる白い脚。寒さでわずかに肌が赤らんでいるのが見えた。彼女は寒そうに身を縮めている。 「あ、あの……どなたでしょうか?」 裕太が尋ねると、女性はまっすぐに彼を見つめた。大きな瞳、整った顔立ち、雪でわずかに濡れた髪。街灯の光が彼女の輪郭を浮かび上がらせている。 彼女は裕太の顔を見て、きょとんとした表情を浮かべた。そして、すぐに眉をひそめる。 「……あなた、誰?」 怪訝そうな声だった。まるで、ここに来るはずのない人物が立っているかのような困惑がそこにあった。
聖夜の訪問者
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