教室のドアを開けた瞬間、冷んやりとした空気が足元から這い上がってきた。 「遅れてごめん」 と小声で言いながら自分の席に向かう舞。椅子に座ろうとして、足の付け根に直接、木の座面の硬さが当たる感触にビクリと身を固くした。 「どうしたの? 顔赤いよ」 隣の席の友人が心配そうに声をかけてくる。 「ううん、何でもない。ちょっと暑くて」 嘘をついた瞬間、罪悪感が胸を刺す。けれど、スカートの中を通り抜ける空気が、濡れていない秘所をそっと撫でるたび、身体の奥が熱を持っていくのを感じていた。 授業が始まると、舞は必死に足を閉じたまま姿勢を正そうとした。けれど、ふとした拍間に足を組み替えようとして、スカートの裾が持ち上がりそうになり、心臓が跳ね上がる。 「あ、ノート貸して」 前の席の男子が振り返りざま、手を伸ばしてきた。舞は反射的にスカートの裾を手で押さえ、震える指先でノートを差し出す。 「ありがとう」 男子の視線が一瞬、舞の膝元を掠めた気がして、全身が強張った。見えてない。見えてないはず。心の中で繰り返しながら、湿り気を帯び始めた秘所を意識してしまう。 チャイムが鳴り、昼休みを告げる。舞は安堵のため息をつきながら、弁当を取り出した。 「ねえ、今日なんか様子おかしくない?」 友人が箸を止めて覗き込んでくる。 「本当に何でもないってば」 誤魔化すように笑顔を作りながら、舞は足の間を通り抜ける風を感じていた。怖いはずなのに、恥ずかしいはずなのに、身体の芯が疼いて仕方がない。 「この感覚、悪くないのかも」 そんな考えが頭をもたげ、舞は自身の背徳心に気づかされないふりをした。
忘れ物より大事な約束
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