舞は床にしゃがみ込んだまま、動けずにいた。大和の視線が、スカートの裾に張り付いていることを敏感に感じる。 「あの……大和くん……」 震える声で呟くが、顔を上げられない。膝に埋めた顔が熱くてたまらない。 「掃除、終わったのか?」 大和が何食わぬ顔で聞いてきた。まるで何も見ていないかのような口調。けれど、その視線が舞の体をじっと観察していることを、舞は感じ取っていた。 「う、うん……」 「委員長たち、もう帰ったぞ」 周りを見渡すと、確かに教室には誰もいない。掃除用具を片付ける音も、話し声も消えていた。 「俺たちだけだな」 その言葉に、舞の心臓が跳ねた。 「そ、そうだね……」 立ち上がらなきゃ。そう思うのに、足に力が入らない。スカートの中の素肌が、冷たい空気に触れる感覚を意識してしまい、身体が火照っていく。 「舞」 大和の声が、低く響く。顔を上げると、大和がすぐそばまで来ていた。 「踏み台、危なかったな」 「う、うん……助けてくれて、ありがとう」 「いや、大事ないのが一番だ」 大和が微笑む。けれど、その目は笑っていなかった。じっと舞を見つめる視線に、居心地の悪さを感じる。 「あの……さっきの……」 言いかけて、舞は口をつぐんだ。 「見た?」 なんて聞けるわけがない。 「見てない?」 と確認したところで、答えはどうでもよかった。 「さっきの、何だ?」 大和が小首を傾げる。 「い、いえ……なんでもない」 「そうか」 沈黙が流れる。舞は立ち上がろうとして、足に力が入らず、その場に座り込んだまま動けない。スカートの裾を両手で押さえる指先が震えていた。 「舞、大丈夫か? 足、痺れた?」 「ち、違うの。ちょっと……立ちくらみがして」 苦しい言い訳。大和はそれを聞き流し、舞の前にしゃがみ込んだ。 「顔、赤いぞ」 「……」 「熱くなってるのか?」 大和の手が、舞の頬に伸びてきた。ひんやりとした指先が、熱を持った肌に触れる。 「大和くん……」 「風邪か?」 「違う……違うの」 「じゃあ、何だ?」 大和の目が、真っ直ぐに舞を見つめる。その瞳の奥に、熱っぽい光が宿っている気がして、舞は息を呑んだ。 「……舞」 「はい」 「何か、隠してないか?」 心臓が止まるかと思った。 「え……」 「いや、気のせいかもしれないが」 大和がわざとらしく視線を逸らす。けれど、その視線は再び舞の下半身へと向けられた。 「スカート、気にならないか?」 「き、気になるって……何が?」 「いや、何でもない」 大和が立ち上がり、教室のドアの方へ歩き出した。 「もう遅いし、帰るか」 「あ、うん……」 舞も慌てて立ち上がろうとしたが、足がもつれてよろめいてしまう。大和が振り返り、じっと舞を見た。 「送るよ」 「えっ?」 「一人で歩くの、危ないだろ」 その言葉の裏に、別の意味が含まれている気がして、舞は背筋が震えた。
忘れ物より大事な約束
18+ NSFW小説ID: cmp0bbz0f000q01oe0fz0eal5










