エラベノベル堂

地下のトモダチ

18+ NSFW

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2章 / 全10

花梨は扉をそっと閉め、背中を預けて深く息を吐き出した。胸の奥で激しく鼓動を打つ心臓を抑えながら、震える手で小瓶を握りしめる。 「誰にも見つからなかったわね……」 廊下の向こうから使用人の足音が聞こえた気がして、彼女はびくりと肩を震わせた。この屋敷には秘密などない。両親も、残った数少ない使用人も、何かにつけて彼女を監視しているような気がしてならない。花梨は急いで部屋の奥へと進み、ベッドの陰に小瓶を隠した。 「ここなら、誰も気づかないでしょう」 古びた寝台の脚の陰、壁と床のわずかな隙間。埃と薄闇に紛れて、小瓶は見事に溶け込んだ。彼女は床に膝をつき、そっと小瓶を引き出す。青い生物は相変わらずガラスの中でゆらゆらと蠢いていた。 「お腹が空いているのではないかしら」 花梨は棚から古びたパンの欠片を取り出し、小瓶の蓋を開けてそっと差し入れてみた。しかし、生物はパンに見向きもしない。食べ物には興味がないのか、それとも別の何かが必要なのか。 「何を食べるの? 教えていただけないの?」 困り果てた花梨は、小瓶の縁に指を添えた。その時だ。指先が生物に触れた瞬間、青い触手が嬉しそうに震えた。ぬるりとした感触が指先を包み込む。 「あら、気持ちいいの?」 不思議な温かさが指先から伝わってくる。花梨は恐る恐る、もう一度触れてみた。生物は今度こそ喜ぶように触手を絡ませ、指先を愛おしむように蠢いた。 「あなた、私に触れられるのが嬉しいのね」 その瞬間、花梨には生物が少しだけ大きくなったように見えた。気のせいかもしれない。けれど、確かに以前よりもふっくらとしたような気がする。 「あなたは特別なのね。私を選んでくれたのね」 小瓶の中で揺れる青い光を見つめながら、花梨は密かに決意した。この生物を育てよう。何があっても、誰にも渡さない。彼女だけの、たった一つの秘密。小瓶の蓋をそっと閉め、花梨は再びベッドの陰に隠した。 「明日も、また会いに来るわ。おやすみなさい」 小さな命が、彼女の心に灯った。

2章 / 全10

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