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朝になったら美少女

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4章 / 全10

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屋上の扉を押し開けた瞬間、乾いた風が頬をかすめた。昼の明るさはやけに強くて、逃げ場のない白さがそこまで来ているみたいだった。章吾はフェンス際で立ち止まり、弁当を広げた友人たちの輪を見た。優斗が真っ先に手を振り、一颯は面白がる目でこちらを見上げ、晴希はもう口元を押さえて笑いをこらえている。 「来た来た。主役登場」 「勝手に決めるな」 章吾が言い返すより早く、優斗が横へ詰めた。椅子代わりの段差に腰を下ろさせる気らしい。章吾はため息をつきつつも、その場に収まるしかなかった。三人に囲まれると、ただでさえ落ち着かない自分の姿が、なおさら見世物みたいに感じられる。 「いやさ、朝倉って本当にそのままなんだな」 一颯がじっと顔をのぞきこむ。視線が肌に触れるみたいで、章吾は肩をすくめた。 「何が」 「中身。見た目は別人なのに、怒り方は章吾のまんま」 晴希が言って、優斗が吹き出す。からかい半分なのは分かっている。それでも、笑いものにされている事実だけが、じわじわと腹の奥を熱くした。 「そんなに珍しいかよ」 「珍しいだろ。朝倉がこんなに目立つ日、二度とないかもしれないし」 その言葉に、章吾は思わず睨んだ。すると優斗は悪びれもせず、今度は弁当箱を持ち上げて見せる。 「ほら、こっち向けって。写真でも撮りたいくらいだし」 「やめろ」 即答したのに、三人はまた笑った。輪の外へ出たいのに、足が動かない。けれど、怒鳴り返しても空気はさらに騒がしくなるだけだと分かっていた。章吾は唇を噛み、視線を逸らす。 そのとき、一颯がふと声の調子を落とした。 「でも、朝倉って今どんな気持ちなんだよ。平気なわけないだろ」 ふざけた顔のまま投げられたその言葉に、章吾は返事を失った。笑われるのは腹立たしい。なのに、完全に突き放されるよりは、こうして気にかけられているほうがまだましだと感じてしまう。妙で、悔しかった。 章吾は弁当の蓋を開け、逃げるように白い米を見つめた。 「別に、平気じゃないけど」 小さく漏れた声に、三人の笑いが少しだけ止まる。だが次の瞬間、晴希が身を乗り出し、今度はまるで大事な宝物でも扱うみたいに髪先へ指を伸ばしてきた。 「やっぱりこういうの、触ったら怒る?」 「触るなって」 慌てて身を引くと、今度は全員が声を上げて笑った。章吾は顔をしかめながらも、その騒がしさの中心に自分がいることを、どうしようもなく意識していた。苛立ちと居心地の悪さのあいだで揺れながら、それでもこの輪から完全には離れられない気がした。風に揺れる髪を押さえた指先に、さっきより少しだけ強い力がこもった。

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