エラベノベル堂

朝になったら美少女

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6章 / 全10

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体育館裏に回ると、昼の熱がまだコンクリートの隙間に残っていた。人気のない倉庫の前で立ち止まった章吾は、鍵を開ける優斗の手元を見つめる。あの騒がしさのままでは埒が明かないと、結局ここまで来たのだ。扉が軋んで開くと、むっとした埃の匂いが鼻をついた。 中には、使い古された跳び箱や壊れたネット、名前の剥げたボール箱が雑然と積まれていた。一颯が懐中電灯代わりのスマホを向け、晴希が箱の隙間を覗き込む。章吾は腕まくりをしようとして、今の自分の体では少し大げさな仕草になったことに気づき、苛立ち混じりに袖を直した。 「このへん、何か残ってないか」 優斗の声に促され、四人は黙って奥へ分け入った。古びた道具の山をかき分けていくと、箱の下から布に包まれた何かが出てきた。晴希が先に見つけ、埃を払う。現れたのは、ノートの切れ端を綴じたような記録と、片側が焦げた小さな装置だった。 章吾は思わず身を乗り出した。装置には見覚えのない部品がついているのに、どこか学校の理科室で見た機械に似ている。記録のほうには、薄い字で使い道のようなものが書かれていた。専門的な内容は分からなくても、変化に関わる何かが隠れているのは十分すぎるほど伝わってくる。 「これ、ただの落とし物じゃないな」 一颯の声が低くなる。さっきまでの軽口が消え、倉庫の空気が急に狭くなった気がした。優斗も、いつもの調子を忘れたように記録へ目を落とす。 「原因に近いかもしれない」 その一言で、章吾の背筋が強張った。ずっと曖昧だった異変が、ついに手の届く場所へ来たのだ。怖いはずなのに、同時に胸の奥がざわつく。ここまでなら手がかりにすぎない。だが、見つけたという事実だけで、逃げ続けるわけにはいかなくなる。 晴希が装置を持ち上げようとして、章吾が慌てて止めた。 「勝手に触るな」 その声は思ったより強く響いた。三人が一瞬だけ動きを止める。けれど次の瞬間、誰かが小さく息をのんだ気配がした。章吾は記録と装置を見比べながら、自分の変化が偶然ではないかもしれないと思い知らされる。答えはまだない。それでも、倉庫の薄暗さの中で確かなものを掴んだ気がした。空気は重く、もう軽口だけではごまかせなかった。

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