倉庫の扉の隙間から、外の夕方が細く差し込んでいた。さっきまでの熱っぽい揺れが少しだけ引いて、章吾は棚に手をついたまま、荒くなった息を整えようとしていた。優斗たちの声は近いのに、妙に遠い。記録の紙は床に落ち、装置はまだかすかに震えている。 「どうする、これ」 優斗が低く言った。その声には、いつもの軽口がなかった。晴希は青ざめた顔で扉のほうを見ており、一颯は装置と章吾を交互に見比べている。誰も次の動きを決められないまま、倉庫の空気だけが重く沈んでいた。 そのときだった。外から、靴音が近づいてくる。土の上を急ぎ足で踏む、規則正しい音。四人の会話がぴたりと止まった。 章吾の背中に冷たいものが走る。誰か来る。そう思った瞬間、優斗が素早く紙を拾い上げ、晴希が装置へ手を伸ばしかけて、慌てて引っ込めた。一颯は黙ったまま、倉庫の奥へ視線を飛ばす。 扉の外で、人の気配が止まった。次いで、低い咳払いがひとつ落ちる。 「おい、そこにいるのか」 聞き慣れた教師の声だった。章吾は息を止めた。見つかる。記録も装置も、この騒ぎも、すべて一気に説明を求められる。けれど、どう隠しても間に合いそうにない。優斗が口を開きかけたのを、章吾は目だけで止めた。 何を知っているのか分からない。どこまで見られたのかも分からない。それでも、この瞬間に慌てて動けば、余計に疑いを招く気がした。章吾は乱れた呼吸を押し殺し、友人たちの顔を順に見た。誰もが、同じ不安を抱えているはずだった。 教師の靴音が、扉のすぐ外で再び鳴る。章吾は拾われた記録と、まだ熱を残す装置に視線を落としたまま、胸の奥でひどくはっきりした感覚を覚えていた。ここでの一手で、ただの騒ぎで終わるか、もっと面倒なものになるかが決まる。信じていいのか、まだ疑うべきなのか、その境目さえ曖昧なまま、章吾は口を開けずに立ち尽くしていた。
朝になったら美少女
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