エラベノベル堂

青い迷宮の落とし穴

全年齢

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3章 / 全10

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柚乃は地図をたたんだまま、細くなった通路をさらに進んでいた。足音が石に吸われるたび、さっきまであった魔物の気配が、嘘みたいに遠くなる。耳に届くのは自分の呼吸と、マントが膝へ触れる微かな擦れだけだった。 静かすぎる、と柚乃は思った。順調に倒し続けてきたからこそ、こんなに何も出てこないことが落ち着かない。けれど、引き返すほどではない。少しだけ首をかしげながら、彼女は壁際に視線を走らせる。石造りの回廊は同じ色のまま延び、どこかで空気が冷たく吹き込んでいるような気配だけがあった。 「さっきまでより、静かすぎるな」 口にした瞬間、柚乃は自分の声がやけに大きく聞こえて、肩をすくめた。返事はない。代わりに、靴底の下で、かすかな感触がした。ほんの一瞬、床が柔らかく沈んだような、嫌な違和感だった。 「え」 気づいたときにはもう遅い。視界の端で石床の継ぎ目がずれ、身体がふっと浮いた。足場が消えたことを理解するより先に、柚乃は冷たい空気へ投げ出される。マントがひるがえり、腕を伸ばしても壁は遠い。喉から漏れた息は悲鳴になりきらず、ただ短く切れた。 次の瞬間、彼女は真っ逆さまに闇へ落ちていった。

3章 / 全10

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