エラベノベル堂

湯上がり勘違い夜話

18+ NSFW

小説ID: cmpam51ef006q01rttcr8ww2p

9章 / 全10

結斗の重みが身体から退いた。千秋は荒い息を整えながら、天井を見つめたまま動けずにいた。内部に残った熱と、太ももの内側を伝う粘り気が、今起こったことを現実として突きつけてくる。 「……戻らなきゃ」 結斗が低い声で囁き、素早く衣服を整える気配がした。布団がめくられ、冷たい空気が一瞬千秋の肌を撫でる。彼は躊躇なく部屋を出て行った。廊下を渡る足音が遠ざかり、やがて消える。静寂が戻る。千秋は眠ったふりを続けた。目を閉じ、規則正しい寝息を装う。心臓は早鐘を打っていた。何があったのか。どうしてこんなことになったのか。整理できない感情が胸の中で渦を巻く。親友の彼氏と、彼氏の親友と。二人の関係を裏切った。柚心への罪悪感。颯人への背徳感。でも、身体にはまだ快感の余韻が残っている。結斗が残した熱い液体が、内腿を濡らす感触。千秋は唇を噛みしめた。身体を起こして確認する勇気はない。ただ、この瞬間が終わってほしいと願った。時間が経つにつれ、窓の外が白み始めた。朝日が窗帘の隙間から差し込み、畳の目が金色に染まる。遠くで鳥の声が聞こえ始めた。旅館の静寂が、朝の気配へと移ろっていく。千秋は目を閉じたまま、深く息を吸い込んだ。何事もなかったように振る舞おう。昨夜のことは、忘れなければならない。でも、身体に残る熱と感覚は、容易には消えそうになかった。

9章 / 全10

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