土曜日の昼、悠真はリビングのソファでスマートフォンを眺めていた。週末の穏やかな陽射しが窓から差し込み、何もない休日をゆったりと過ごしている。仕事から解放された一日は、読書をしたり、動画を見たりして過ごすのが常だった。ピンポン。インターホンの音が静寂を破る。立ち上がってドアを開けると、花音が立っていた。 「悠真くん、お昼ご飯食べた?」 花音は両手にタッパーを持って、満面の笑みを浮かべている。 「まだだけど……どうしたんだ?」 「料理してみたの。一人じゃ食べきれないから、よかったら一緒にどうかなって。」 断る理由もなく、彼女を部屋に招き入れる。リビングに入った花音は、自然な手つきでテーブルにタッパーを並べ始めた。 「パスタ作ったの。ミートソース。得意料理なんだ。」 彼女がテーブルに身を乗り出した瞬間、悠真の視線は吸い寄せられた。花音が着ているのは、体にフィットするタイトなニット。薄手の生地が胸のふくらみを強調し、その下に透けるブラジャーのラインがはっきりと見て取れる。肩から腕にかけての華奢な曲線、腰のくびれから続くシルエット。ニットは彼女の体のすべてをなぞるように張り付いていた。(……まずい。)悠真は慌てて視線を逸らすが、意識は否応なく引き寄せられる。 「悠真くん?」 ふと顔を上げると、花音が不思議そうに見つめていた。 「なんでもない。パスタ、美味しそうだな。」 「でしょ?座って、座って。」 促されるままソファに座る。花音が向かいの席についた。彼女が身を乗り出してパスタを取り分けるたび、胸元のラインがふわりと動く。ブラジャーの縁の凹凸が、薄いニットの下で浮き沈みするのがわかる。 「最近、服変えた?」 つい、問いかけた。花音はフォークを口に運びながら、首を傾げる。 「え?うーん、ママが買ってくれるのがちょっと変わったかな。夏だし、涼しいのがいいって。」 「涼しい、か……」 確かに涼しそうだ。涼しすぎるくらいだ。けれど花音の表情には、何のやましさもない。無邪気そのものの笑顔。意識しているのは自分だけなのか。 「悠真くん、ソースついてる。」 花音が身を乗り出し、指で悠真の口元を拭った。柔らかな指先が唇に触れ、甘い香りが鼻腔をくすぐる。近い。ニットの下のふくらみが、視界の端で揺れる。 「あ、ありがとう……」 「どういたしまして。」 彼女は何事もなかったかのように、パスタを食べ続ける。悠真は呼吸を整えながら、高鳴る心臓を抑え込んだ。このままで大丈夫なのか、不安が胸の奥で膨らんでいく。
ワンピースの向こう側
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