エラベノベル堂

ワンピースの向こう側

18+ NSFW

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4章 / 全10

土曜日の昼からの数日間、悠真は仕事に追われていた。プロジェクトの締め切りが重なり、残業が続いている。水曜日の夜、ようやく定時で帰宅できた悠真は、近所のスーパーで買い物を済ませ、マンションへの帰り道を歩いていた。エレベーターホールで、上の階に住む主婦の田中さんと鉢合わせる。 「あら、悠真くん、お帰りなさい。遅くまで大変ね。」 「はい、ありがとうございます。」 エレベーターを待つ間、田中さんが唐突に切り出した。 「それにしても、引っ越しなんて寂しくなるわね。」 「え?引っ越しですか?」 悠真は思わず聞き返す。田中さんは意外そうな顔をした。 「遠くへ行くって噂になってるわよ。最近、花音ちゃんが言いふらしてるらしくて。」 「花音が?」 悠真は首を傾げた。心当たりがない。会社から転勤の話は出ていないし、家賃の更新も済ませたばかりだ。 「何かの勘違いじゃないですかね。俺、引っ越すつもりないですよ。」 「あら、そうなの?よかったわ。花音ちゃん、最近ずっと寂しそうな顔してるから、気になってたのよね。」 エレベーターが到着し、田中さんは手を振って別れを告げた。自室に戻った悠真は、買い物袋をテーブルに置きながら考え込んだ。花音がそんな噂を流している?彼女の最近の行動が思い浮かぶ。胸元の開いたカットソー、短いホットパンツ、体にフィットするニット。あれらはすべて、彼女なりの何かのアピールだったのか。だが、何を?引っ越すと聞いて、寂しさから気を惹こうとしている?いや、そんなはずはない。幼馴染だ。ただの家族同然の存在だ。悠真は首を振り、考えすぎだと自分に言い聞かせた。だが胸の奥で、小さな違和感が澱のように残っていた。

4章 / 全10

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