エラベノベル堂

ワンピースの向こう側

18+ NSFW

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5章 / 全10

日曜日の朝、悠真はゆっくりと目を覚ました。一週間の疲れを眠ることで解消した後、リビングでコーヒーを淹れる。穏やかな休日の始まり。昨夜の残業から解放され、何も予定のない一日が広がっている。スマートフォンを手に取り、ニュースを眺めていると、着信音が鳴り響いた。画面に表示された名前を見て、悠真は少し戸惑った。 「花音」 朝から電話してくるのは珍しい。スワイプして通話ボタンを押す。 「もしもし、花音?」 『あ、悠真くん、おはよう。起こしちゃった?』 電話の向こうから聞こえる花音の声。いつもの明るい声色だが、どこか張り詰めたような響きがある。悠真はコーヒーカップをテーブルに置いた。 「いや、起きてた。どうしたんだ、朝から。」 『あのね、どうしても行きたい服屋があるの。今日、付き合ってくれない?』 服屋。その言葉に、ここ数日の花音の姿が脳裏をよぎる。胸元の開いたカットソー、短いホットパンツ、体にフィットするニット。彼女の服装は確実に変わっている。田中さんの言葉が蘇る。花音が引っ越す噂を流しているという話。その噂と、彼女の行動の間に何か関係があるのだろうか。 「今日か……」 悠真は言葉を濁した。正直、一人でのんびり過ごしたい。けれど、花音の声には切実なものがあった。 『お願い。どうしても今日がいいの。』 断りきれない。幼い頃から、彼女にこうやって頼まれると断れた試しがない。それはお互いの家を行き来していた頃からの習慣みたいなものだ。 「わかった。何時くらい?」 『ありがとう!午後一で駅前で会おう。十二時に、いつもの場所で。』 花音の声が弾む。張り詰めた緊張感が少しだけ緩んだように感じられた。けれど、どこか不自然な響きは消えない。何かを隠しているような、必死に抑え込んでいるような。 「花音、何かあったのか?」 『え?』 「いや、声が……ちょっと疲れてるのかなって。」 受話器の向こうで、花音が息を呑む気配がした。 『……ううん、何もないよ。ただ、悠真くんと買い物したいなって。』 その言葉は、どこか痛々しいほど真剣だった。悠真は疑念を飲み込み、 「わかった」 と答えた。通話が切れ、静寂が戻る。コーヒーはすでに冷め始めていた。スマートフォンを置き、悠真は大きく息を吐き出した。今日の買い物で、何かが変わる予感がしていた。

5章 / 全10

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