「始め!」 咲良の掛け声と共に、畳の上で静かな対峙が始まった。夕闇が窓ガラス越しに迫り、二人の姿を青く染めていく。 「先手を頂くわよ」 彼女は右足で踏み込み、颯介の左側面へと回り込んだ。素早い動きで彼の腕を掴み、腰を切り替えて大外刈りの体勢に入る。 「もらった!」 渾身の力で相手を弾き飛ばそうとした瞬間、颯介の身体が不思議なほど軽く感じた。彼は足を流すのではなく、咲良の動きに合わせて滑るように後退したのだ。 「えっ」 虚を突かれた彼女の体勢が一瞬崩れる。その隙を逃さず、颯介の手が道着の裾から滑り込み、太ももの内側をねっとりと撫で上げた。 「ひゃっ」 咲良は息を呑み、思わず後退った。 「な、何するのよ」 「柔道だろ」 颯介は表情一つ変えず、再び組み手を求めてくる。 「組み敷くのに、どこ触ってもいいはずだ」 その言葉に反論できず、咲良は再び構えを取った。だが、今度は颯介から攻め込んできた。力強い組筋で道着ごと彼女を引き寄せ、密着した状態で畳の上を制圧していく。 「くっ、離して」 咲良は技をかけようと足を踏ん張るが、その瞬間、颯介の指が股間の柔らかな膨らみを確かめるように押し当てられた。 「あっ、そこは……」 電流のような感覚が背筋を駆け上がる。道着の布一枚隔てただけの接触。柔道の動きの中で、これほど際どい部分を触られたことはない。 「ほら、どうした」 颯介は耳元で囁きながら、さらに指に力を込めた。 「全国を目指すんだろ。これくらいで声が出るのか」 「うるさい……っ」 咲良は顔を紅潮させ、必死に彼を突き放そうとする。しかし、身体の力が思うように入らない。敏感な部分を弄られ、普段なら冷静に対処できるはずの状況で、思考が鈍っていく。 「ただの柔道よ、何を動揺してるの私……」 彼女は自分に言い聞かせるように呟いた。だが、颯介の手は執拗に秘所を刺激し続け、柔道なのか快楽なのか、境界線が曖昧になっていくのだった。
約束の一本
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