エラベノベル堂

涙が溶ける場所

18+ NSFW

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5章 / 全10

寝台の上で、アランの呼吸が次第に穏やかになっていく。エリナは彼の寝顔を見つめていた。疲れ切っていた彼は、抵抗することなく眠りの淵へと沈んでいった。 「あなた、こんな状況で眠れるの」 彼女は小さく呟く。だが、その声に以前のような刺々しさはなかった。灯りは消え、赤い炎と白い霧だけが部屋を柔らかく包んでいる。エリナは恐る恐る手を伸ばし、彼の頬に触れた。 「……」 指先から温かな感情が流れ込んでくる。戦場での冷徹さの下に隠された、深い優しさ。部下を思う心。故郷の母への想い。そして、誰にも委ねられなかった孤独。それはエリナ自身の孤独と響き合った。 「あんたも、一人だったのね」 気づけば、涙が頬を伝っていた。魔族の王女として憎しみを教えられ、人間を敵と蔑んできた。だが、この男の中にあるのは純粋な悲しみと、守りたいという願いだけ。彼女の胸の内で、氷のように固まっていた感情が溶け始めた。 「私、今まで何を見ていたのかしら」 エリナは涙を拭い、改めて彼の顔を見つめる。整った眉、蒼い瞳は今閉じられているが、その奥にある強さを彼女は知っていた。指先が自然と、彼の唇へと滑る。 「触れていたい」 その思いは、呪いのせいだけではない。エリナは彼に顔を寄せ、静かに唇を重ねた。柔らかな感触。電流のような快感が背筋を走る。アランが微かに身じろぎしたが、目を覚ます気配はない。彼女は唇を離し、彼の首筋へと指を滑らせる。鎖骨の窪み、その下の引き締まった胸板。鼓動が伝わってくる。 「あんたの痛み、全部受け止めたい」 エリナの熱が、彼への愛撫へと変わっていく。

5章 / 全10

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