エラベノベル堂

ライバルは今夜、隣に座る

18+ NSFW

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4章 / 全10

健太は椅子から立ち上がった。窓辺に立つ遥香の背中が、青と灰色の光に包まれている。その色彩が、彼女の心を無防備に晒しているようだった。 「遥香」 再度名前を呼ぶと、彼女は振り返らなかった。 「何度も呼ばないで。集中したいの」 だが、健太の足は勝手に動いていた。惹きつけられるように、一歩、また一歩と近づいていく。 「……ごめん」 健太は謝罪ともつかない言葉を漏らし、恐る恐る彼女の肩に手を伸ばした。指先が彼女の服の生地に触れた、その瞬間——電流が走ったような衝撃が健太を貫いた。いや、電流ではない。もっと深く、内側から湧き上がるような感覚。健太は息を呑んだ。自分の心臓ではない、別のリズムが胸の奥に響いてくる。トクトク、トクトク。それは遥香の鼓動だった。 「……っ」 遥香が小さく息を漏らし、振り返る。彼女の瞳が大きく見開かれていた。 「健太、今……何か、変な……」 言葉にならない驚愕が彼女の顔に浮かぶ。健太もまた、言葉を失っていた。触れた肩から、彼女の感覚が流れ込んでくる。指先の冷え、肩の凝り、そして胸の奥に満ちる熱い塊。同時に、健太の目の前で色彩が劇的に変化した。灰色の光が退き、青い光が小さく縮む。その代わりに、鮮やかな赤色が彼女の胸のあたりから輝き始めたのだ。情熱的で、深く、燃えるような赤。健太にはわかった。この色は、彼女が健太に対して抱いている特別な感情の色だと。ライバル心でも、孤独でもない。それは—— 「……健太」 遥香の声が震えていた。 「あなた、何をしたの」 健太は指先に力を込めたまま、彼女の瞳を見つめ返した。 「僕にも、わからない。でも、わかったことがある」 赤い光が、二人の間で脈打つように揺らめいていた。

4章 / 全10

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