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シェアドリーム

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5章 / 全10

一日が終わり、まどかはベッドに横たわっていた。隣室からは今日も生活音が聞こえてくる。けれど、その音が以前ほど気にならなくなっていた。最近は眠る瞬間を心待ちにしている自分がいる。健人くんに会えるからだ。まどかは目を閉じ、深呼吸をした。意識が沈んでいく。白い霧が視界を満たし、あの懐かしい空間へと導かれていく。 「今日も来てくれたんだ」 健人の声がして、まどかは顔を上げた。彼が霧の向こうから歩いてくる。いつものように穏やかな笑みを浮かべていた。 「うん。今日も会いたかった」 言ってから、少し恥ずかしくなって顔を伏せる。健人はそんなまどかの様子を楽し気に見つめていた。 「俺もだよ。今日も来ると思ってた」 二人は並んで歩き出した。白い空間には何もない。けれど、二人の周りだけが温かな空気に包まれているように感じる。 「ねえ、健人くん」 まどかが呼びかけると、彼は足を止めて振り返った。 「なに?」 「手、繋いでもいい?」 言葉は勢いで出た。考えれば考えるほど恥ずかしくて、まどかは俯いたまま彼の方を見られない。沈黙が流れる。拒絶されるかもしれないという不安が胸をよぎった瞬間、温かいものがまどかの手に触れた。見上げると、健人が微笑みながら手を差し出していた。 「俺もそうしたかった」 彼の手は大きくて、少し温度が低いように感じた。けれど、不思議と温かい。夢の中なのに、肌の感触がはっきりと伝わってくる。 「……温かいね」 まどかが呟くと、健人も不思議そうな顔をした。 「本当に。夢ってこんな感覚だったっけ?」 「分からない。でも、嫌じゃない」 「うん、私も」 二人は手を繋いだまま歩き続けた。時折、肩が触れ合う。そのたびに、まどかは心臓が高鳴るのを感じた。夢の中で肌に触れる感覚。現実のように鮮明で、けれどどこか違う。境界が曖昧な感覚に、まどかは戸惑いながらも心地よさを覚えていた。 「まどかちゃん」 健人が足を止めた。振り返ると、彼が真剣な眼差しでこちらを見ていた。 「こうしていると、本当に近くにいるような気がする」 まどかは頷いた。 「私もそう思う。もしかしたら、すごく近くにいるのかもしれないね」 「だといいな」 健人はそう言って、少しだけ寂しそうに笑った。その表情を見て、まどかの胸が痛んだ。夢の中でしか会えないもどかしさ。けれど、この温もりは本物だ。まどかは健人の手を、少しだけ強く握りしめた。

5章 / 全10

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