エラベノベル堂

シェアドリーム

18+ NSFW

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7章 / 全10

まどかは立ち尽くしたまま、奥の居室を見つめていた。閉め切られた仕切りの向こうに、誰かがいる気配がする。それとも、ただの勘違いなのだろうか。雨音が窓を叩く音だけが響いている。 「……ごめんなさい」 消え入りそうな声で謝りながら、まどかは恐る恐る奥へと足を進めた。濡れた靴下が床を滑り、小さな音を立てる。心臓が喉元まで迫ってくるようだった。仕切りの前に立つ。少し開いている隙間から、薄明かりが漏れていた。 「すみません、あの、間違えて」 言葉を飲み込んだ。仕切りを少しだけ押し開ける。目に入ったのは、シングルベッドに横たわる男性の背中だった。黒い髪、広い肩。リラックスした寝息が静かな部屋に満ちている。部屋の主は帰宅していたのだ。そして今、眠っている。まどかは逃げ出したくなった。無断で他人の部屋に入り込み、寝室まで覗いてしまった。これ以上あってはならないことだ。けれど、足が動かない。目が、ベッドの上の人物に釘付けになっていた。男性が寝返りを打つ。シーツが擦れる音がして、彼の顔が見えた瞬間、まどかの息が止まった。 「……え」 見覚えがある。いや、見覚えなどないはずだ。初めて見る顔のはずなのに。整った鼻筋、落ち着いた眉のライン、少し薄い唇。けれど、まどかは知っていた。夢の中で何度も見てきた顔だ。 「健人くん」 名前が唇から零れ落ちた。瞬間、全身を電流のような感覚が走り抜ける。白い霧の中で手を繋いた温かさ。肩が触れ合ったときのドキドキ。あれは夢ではなかったのかもしれない。いや、夢だった。けれど、目の前にいる男性は紛れもなく現実だ。まどかは震える手で口元を覆った。 「嘘……」 夢で出会う彼と、隣室の住人が同じ人物だったなんて。考えられない。けれど、強ち否定できない。薄い壁一枚隔てた向こう側で、ずっと彼が住んでいたのだ。まどかは改めて健人の寝顔を見つめた。穏やかな表情。夢の中で見せてくれた笑顔と重なる。心臓が高鳴り、胸がいっぱいになった。 「健人くん」 もう一度、名前を呼ぶ。声には出さず、心の中で。夢と現実の境界が曖昧になっていくような感覚。まどかは仕切りの枠に指をかけたまま、動けずにいた。

7章 / 全10

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